今年は既読本の再読も含め、よく本を読んだ1年でした。
あいかわらず読み散らかし、読了記録もつけたりつけなかったりで、Amazonの購入記録や図書館の貸出レシートなどを見ながら、ログをまとめる年末でした。
三体 劉慈欣
今年初め頃から、大ベストセラーの中国SF『三体』を読み始めました。
セールのときに英訳本も買っていたので、英中の並行読みを始めましたが、長かった。
先が気になるときは英語版のほうはとばして、中国語原書メインで読みました。最終巻の冒頭は英語版のほうが読みやすかった。
三体Ⅱの日本語版が6月に発売されるので、それまでに二作目原書を読み終えるのが目標でした。
なんとか読み終えて、次はいよいよ最終巻。日本語版の発売予定は2021年の春なので、そこまではもう少し時間があります。気が抜けてペースが落ちるかなと思いきや、おもしろすぎて一気に読了しました。
二作目を読むときは、一作目の衝撃を超えることができるのかな、と疑いながら読み、その予想を裏切られ、三作目も同じように、二作目以上の驚きがあるのかしらと思いながら読み、結果、その想像力の果てしのなさに呆然としながら最後のページを読み終えたのでした。
三体最終巻の日本語版は今年の春から夏に刊行予定とのこと。Netflixでの映像化も待っています。
Redhead by the Side of the Road アン・タイラー
今年80歳になるアン・タイラー。いつまで読むことができるだろうかと、新作が出ると大切に大切に読んでいます。
あらすじ・感想については過去記事をどうぞ。
いっぷう変わっていて、ちょっと生きづらさを感じている人物が主人公の作品には、自分を投影してしまうのか、ついついのめりこんでしまいます。パートナーとの関係がぎくしゃくしてしまうけど、お互いに歩み寄っていくというストーリーはThe Rosie Projectも思い出させます。
Anxious People フレドリック・バックマン
フレドリック・バックマンの新作、Anxious Peopleもとてもよかった。
スウェーデン語からの英訳版です。
最近、読書体力が落ちてきました。落ちてきたのは読書を継続する体力というよりはむしろ、ヘビーな内容の物語を受け止める力のほうです。
そういう点では、フレドリック・バックマンの作品は安心して読める。この作品も、ある種のファンタジーとして受け止めるほうが自然なのでしょうが、登場人物のひとりひとりはとてもリアルで、深く共感できました。
この物語には、終盤まで伏せられていることが数多くあるのですが、日本語ではそれをどのように表現されるのか、とても興味があります。邦訳の刊行が楽しみです。
ある一生 ローベルト・ゼーターラー
初読は2019年なのですが、2020年に何度も読み返したので、2020年にカウント。
読了。
『ある一生』ローベルト・ゼーターラー
ものすごくよかった。https://t.co/PnbhjFAjgj pic.twitter.com/3O5U8uBOLQ— Marie 📗 (@marie__100) September 29, 2019
オーストリアの作家、ローベルト・ゼーターラーの作品です。言語はドイツ語。
苛酷な人生を生き抜いたひとりの男の物語。驚くほど静かな筆致で、読んでいると心がしーんとしてきます。雪の積もった朝みたいに、静かで明るい景色が、あまりにもたくさんの悲劇や災難を内包していることに、驚き、心を揺さぶられる。
靴ひも ドメニコ・スタルノーネ
ジュンパ・ラヒリがイタリア語から英訳した小説です。
前半の、夫婦が順に語る章は痛々しくて読んでいられなかった。
このすっかり壊れてしまった家族が、物語の終わりにどんなふうに終局を迎えるのか、おそるおそる読んでいきましたが、最後の最後でぱーっと開けた光景に、救われました。
靴ひも ドメニコ・スタルノーネ 読了。
ジュンパ・ラヒリがイタリア語から英訳した小説。ドキドキしながら一気に読んだ。 pic.twitter.com/e7uKdvlZ9e— Marie 📗 (@marie__100) June 21, 2020
ザリガニの鳴くところ ディーリア・オーエンズ
原書を買っていましたが、一向に進まないので、邦訳を買って、多読界隈でシマウマ読みというのですかね、章ごとに日英順ぐりに読んでいく方法をとりました。最後は結末が気になって日本語メインで読みましたが、読了後、英語で再読しました。
湿地の奥で孤独に生きる少女。家族から捨てられ、コミュニティからも迫害され、ぎりぎりのところで命をつなぐ少女は、兄の友人であった少年から文字を教わり、本を読むことで知識というツールを手にしていきます。
彼女を救ったのは彼女自身であるというところに、21世紀の物語だなあと感じるところがありました。
急に具合が悪くなる 宮野真生子 磯野真穂
去年は自分自身をコントロールしようとしすぎて深い穴にはまってしまった1年でした。
目標とか、習慣化とか…、意味がありそうでなさそうなものに振り回されすぎず、ただこの一瞬を自分に誠実に生きるということについて考えました。
著者インタビューへのリンクを置いておきます。
The Upside of Your Dark Side Todd Kashdan Robert Biswas-Diener
手帳術界隈のキーワードを追っていると、ポジティブであれ、常に目標を持って追いかけろ、みたいなものに漬かりすぎて身動きができなくなってしまうことがあります。
行き過ぎたポジティブ心理学の弊害をテーマにした本を芋づる式に読んでいましたが、この本がいちばんしっくりきました。ポジティブじゃなくていい、ずっとマインドフルネスじゃなくていい。バランスの取れたホールネスというありかたを説いています。
原書の英語はわかりやすかったです。
読んだ後で、日本語版が出ていることを知りました。
この過去記事にもちょっと書いてました。
サキの忘れ物 津村記久子
子供からの影響で、日本人作家の本も結構読んだ気がするんですけど、あまり記憶に残っていない。
短編集では津村記久子の『サキの忘れ物』がよかった。
今年はもう一冊、著者の『この世にたやすい仕事はない』も読み返していました。
荒潮 陳楸帆
今年後半に読んだ中国語本。近未来SFで、知らない単語が山ほど出てくるので最初の部分でとても苦労しました。
いまこの記事を書いているところで、邦訳がすでに出てたことを知りました。
勢いで読み切ったところもあるので、日本語でもう一度読み返してみようと思います。
ああ、もう10冊になりましたね。
というか、そもそも『三体』が三部作なので、すでに10冊超えてた。
アン・タイラーとか、堀江敏幸とか、角田光代の源氏物語とか、読んだ英語本の中国語訳とか、一度読んだ本を読み返すことが多い年でした。
ほかにも中国語本の中に印象深かった作品もあるのですが、短編集が多く、収録作品の全てを読み切っていなかったり、どの作品が誰のだったか混乱してたりするので、ブログを書くために再読しつつ、記憶を整理していこうと思います。
いろんなプラットフォームの電子書籍を読める体制が整ったので、今年もどしどし読んでいきます。