長い間、「やろうやろう」と思っているだけでなかなか行動に移せなかった、エッセイの翻訳本をとうとう形にすることができました。
詳しくはAmazonの書籍ページの紹介文をご覧ください。
北京の新聞記者、Michelleさんのブログがベース
本の4~5章で紹介しているエッセイは、このブログで開催している「中国語翻訳会」での課題でもある、北京の新聞記者、Michelleさんの文章です。
彼女のブログ《M浮生记》の大ファンでした。
自分だけの楽しみとしてお気に入りの記事を日本語に翻訳していましたが、そのうち、まとめて本にするといいなあと思いはじめ、Michelleさんにお話して、翻訳と公開・配布の許可をいただくことができました。
その話を彼女としたのは、ついこの間だった気がするのに、あっという間に数年が過ぎていました。
南天中国語研究所の門をたたく
本の第4章、「中国語翻訳教室の実況中継」では、南天中国語研究所の岡本悠馬さんにご登場いただいています。中国語学習者の皆さんならご存知でしょうが、岡本さん、こんな方です。
文芸翻訳講座というと、これまで読んできた書籍などの影響で、厳しくダメ出しをされる印象があるのですが(実際のところはどうなんでしょう?)、小心者の私は、そんなスパルタな環境で伸びる子ではありません。岡本さんが穏やかな先生でよかった。
今まで知りたいけれど誰に聞いたらいいのかわからなかったような数々の質問を、ここぞとばかりに私が投げると、岡本さんが丁寧に解きほぐして教えてくださいます。とても楽しいレッスンでした。
愛読書『翻訳教室』
柴田元幸さんの『翻訳教室』という本が大好きです。東大での講義の実況中継。途中、村上春樹さんまで出てきます。
柴田さんにお会いする機会があった時、持参してサインしてもらったほど、思い入れのある本です。
(隙を見て「私、翻訳が好きなんです!」と飛びついて、少しお話ができたのですが、「同じ翻訳仲間」という感じで接してくださって、とても感激しました。)
私は東大生でもない、ただの中国語好きにすぎませんが、私が生徒で、岡本さんが先生、このレッスンのやり取りが『翻訳教室』のような本になったらおもしろいんじゃないかなあと思い始めました。
この本で柴田さんは、学生から自分の訳にダメ出しされても、そうかもね~そっちの訳の方がいいかもね~ふふふん、といった様子で、肩の力が抜けた感じがまた楽しいのですが、岡本さんのレッスンにも、そういうゆるさというか懐の深さがあるのです。
それでいて、「ここは不要」「ここは違う」というのを、その理由とともにわかりやすく指摘してくださったのもありがたかったです。
というわけで、5章の部分はこの愛読書をめざして、岡本さんとのレッスンのおもしろさをおすそ分けできたらという思いで本を作っていきました。
目次
こんな構成です。前半は自分語りが多いのですが、嫌がられないように、短めに抑えています。
全体の4割が5章の中日対訳エッセイ、3割強が4章の翻訳教室、といった構成です。
第1章 私にとっての翻訳 ①趣味としての翻訳
第2章 私にとっての翻訳 ②仕事としての翻訳
第3章 正しく原文を理解する
第4章 岡本先生の翻訳講座・実況中継
課題1
ティータイム1
◆名前の訳し方について
◆句読点の数の増減
◆文の切り分け・統合
◆語順
課題2
ティータイム2
◆固有名詞の言い換えについて
◆文芸翻訳というお仕事について
課題3
ティータイム3
◆訳出の過程
◆翻訳で使う辞書
第5章 『露の世に』中日対訳
おわりに
Kindle Unlimited・読み放題サービスの対象書籍ですので、中国語学習者以外の方も、機会があればぜひ読んでみてください。
外国語を学ぶ楽しさ、翻訳の楽しさが伝わればいいなと願っています。