アン・タイラーによる2022年の小説、French Braidの感想です。
2022年の作品です。出てすぐに読んだのですが、感想を書き忘れておりました。
このたび再読したところ、1回目では気づかなかったところも多くあり、やっぱりアン・タイラーすごいな、としみじみしている次第です。
あらすじ
著者が一貫して物語の舞台とし続けるボルティモアの田舎町で暮らすある家族のおはなしです。大きな事件が起こるわけではなく、水面に投げた小石の波紋がゆっくりと広がっていくように、個人個人の言動が世代を越えてほかの家族に影響を与えていく。痛みもあるけれど、優しさもある。
テイストは違うけれど、やはり大好きな作家、エリザベス・ストラウトの紡ぐ物語に通じるものがあると感じます。最新作にコロナ禍の状況が描かれているのも共通点です。
エリザベス・ストラウトのLucy by the Sea 読み終わりました。パンデミックさなかの話とは知らず、最初はきつくてなかなか読み進められなかった。物語は思いもかけない方向に進んでいって、寂しくて、でもあたたかかった。あの人が登場してびっくりした。 https://t.co/Ab8JP3xljP
— Marie 📗 (@marie__100) October 29, 2022
Goodreadsのレビューを読んでいると、今回は三きょうだいの母親であるMercyに共感できるかできないかで点数のつけ方が大きく変わってくるようです。
家族のだれもが不完全だし、いいところも悪いところもあって好きだけど嫌い、傷つけたり傷つけられたりして、それでも、人生のところどころで関わり合いながら、ふとした一言で救われたり、優しさを交換しているものだなあ、としみじみするのです。
直近で読んだ著者のRedheadがわりとほっこり話だったので、油断していましたが、著者の作品はハートウォーミングではあるけれどこまかな擦り傷をたくさん負う読書体験になるということを忘れていました。私自身の家族とのあれこれを思い出しながら、自分自身を癒す時間をつくらなければ、と思います。