セルフコンパッション本についての感想(続き)



先日書いた記事の続き。
クリスティン・ネフの著書2冊についての感想です。

この春、今まで味わったことのない感覚が私のもとにやってきました。 ミッドライフクライシスのような、バーンアウトのような。 仕事も...

セルフコンパッションワークブック

先日ご紹介したセルフコンパッションに合わせて、評価の高いワークブック(英語版)も購入してみました。

内容は大変よかったのですが、Kindle版の商品タイトルに「プリント・レプリカ」とあるように、実質PDFバージョンといってよく、読み上げ機能やフォントサイズ変更など、Kindleならではの機能が使えません。

シンプルな英語なのでわかりやすく、英語という別の言語を通じてワークをすることで、変に構えることなく率直に取り組めたようにも感じますので、気になる方はぜひKindle版のサンプルページを読んでみてください。ワーク部分も読めますし、イントロダクション部分を読むだけでも、心がやわらかくなる感じがありました。

必ずしもこの本がなければワークができないというわけでもありません。
最初に出た本(Self-Compassion)にもたくさん紹介されています。

ですが、ワークにしっかり取り組みたいと思ったら、やはりそのために作られているワークブックの方が使いやすそうです。事例も載っていて親しみやすいです。

ワークブックの日本語版はこちらです。紙書籍のみ。

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カーリルで蔵書のある図書館を調べることもできます。

心を開くのが難しいこともあるかも

もともとこの研究のきっかけが仏教の教えであることから、若干宗教的なニュアンスもあるので、気になる方は気になるかもしれません。

下のツイートにもあるように、私は職場のメンタルヘルス研修で臨床心理士さんが紹介してくださるワークにも抵抗を感じてしまうタイプです。

初めのほうのワークはわりと気軽に試せるのですが、徐々に、取り組むことに抵抗を感じるものもあらわれます。
この場合も、まずはさらっと読み流して、自分が向き合えるタイミングが来た時にワークに取り組むのがよいのかと思います。(本の中にも、「一番よいワークはあなたがいちばん長く続けられるワーク」とあるので、できそうなものから取り組むのがよさそうです。)

私はふとしたことで「取り組むなら今だな」と思いたち、4月下旬から10日くらい集中して取り組みましたが、本の中でも紹介されているバックドラフトが立て続けに起き、一時期結構しんどかったです。でもそれを抜けると心が軽くなりました。

Fierce Self-Compassion

そして、著者の一番新しい本がFierce Self-Compassionです。
2021年に出た本で、コロナ禍におけるセルフ・コンパッションについても言及されています。
(今結構値段が上がってますが私は4月に1600円台で買いました。)

夏には『自分を解き放つセルフ・コンパッション』というタイトルで日本語訳も出るようで、楽しみです。

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ジェンダーとセルフ・コンパッション

新作では、コロナ禍における女性の困難も視野に入れ、ジェンダーとセルフ・コンパッションについて紐解かれています。

ツイッターで時々流れてくる、男性インフルエンサーの「自分の機嫌は自分でとるべき」理論、あれを見るたびに反発してしまっていました。

不機嫌の発露で周囲をコントロールしようとする男性に対して同性から発信するメッセージなのかなと理解はしつつ、不当な扱いを受けても不機嫌になることさえ許されない女性の立場も考慮に入れてほしいという願望から、この発言にモヤモヤを感じてしまっていたのだと思います。

そんな私にとって、この本の中の「職場で起こるこまごまとしたことに、『それは不公平である』ときちんと示すべき」という言葉はとても勇気づけられるものでした。

自分を癒して穏やかに日々を過ごす、ということと、嫌なことをされても周囲に不快感を与えず生きる、というのがごっちゃになってしまい、結果的に「差別的な言動を受けてもさらっと流すのが大人」のようなところに落としどころをつくってしまいがちですが、こういうことが起こる状況下では、自分を癒すことはできないので、NOを表明していかないといけない。

女性だけでなく男性にも

この本は女性性からの視点で書かれていますが、男性を敵視するものではなく、男性優位社会の中で困難を感じている男性にも役立つものだと感じます。

自分の機嫌を自分でとるだけでなく、怒るべき時はそのエネルギーをきちんと使う、不当な扱いを受けて湧き起こる怒りを悪者扱いしないというメッセージが大きく出ている新作がしっくりくる方も多いのではと思いながら読んでいます。

そして同時に、他人に対して感じる怒りが、実は自分自身への批判を他者に投影していたんだということをセルフコンパッションのワークを通じて理解できるところもとてもよいです。
怒りや恥といった感情をときほぐして、合理的に切り分けられるようになるととてもラクになります。

自分が見ないようにしていた部分を表に出していかないといけないので、エゴが反発するというか、自分をかばいたい気持ち、理想的な自分を手放したくない気持ちが抵抗しますが、そこを抜けると本当に軽くなります。

うまくいきつづける人生はない

手帳周りを含め自己啓発系の書籍は、「かならずうまくいく」「夢がかなう」「最速で目標達成できる」をうたうものが多いです。中身はそれを断言していないのに、タイトルがやたら強すぎる本もたくさん出てしまっている。

実際に私もそのような本や、それを書いた著者の生きざまに励まされたこともありました。
(だからこそ、「うまくいかないはずがない」というメッセージを発し続けた著者が表舞台から消えたりすると、私の心にまでダメージが波及するのでした…。)

しかし、クリスティン・ネフの著書においては繰り返し繰り返し、人生には痛みがともなうということが書かれています。

“Life is hard for everyone.”
“We’re all imperfect human beings living an imperfect life. And life is hard.”
“Life isn’t easy.”

夢が叶ったあとに人生最大の困難な局面が訪れることもあるだろうし、何もかもがうまくいく時期を過ぎて、なんにもうまくいかない事態に対処しなければならないこともある。

それは自分がダメな人間だからではなく、そもそも人生というのがそういうものだから。

人間は不完全なものであるということを前提に、自分が見ている世界を再構築することで、それ以前よりもラクに過ごせるようになるのを実感できる本です。

斜に構えるのをやめるとラクになる、ことも

ひとつ前の過去記事からの引用です。

最初は、こういうワーク自体に疑いを持っていて、こんなことにまじめに取り組んでいる自分がバカみたいに思えます。「わー、バカだなー、こんなことしたって意味ないのになー」と思う自分と、「バカだなーって斜に構えて警戒している自分がいるなー」という自分を両方心に置いたまま、頭に浮かんだことを書き出していきます。

この春、今まで味わったことのない感覚が私のもとにやってきました。 ミッドライフクライシスのような、バーンアウトのような。 仕事も...

ちょうどいいタイミングでTwitterに流れてきたこの記事がとてもよかったのでご紹介です。

本当にこんな感じで、斜に構えた自分をいったんわきにおいてみることで、すごく新しい発見があります。

セルフ・コンパッション、本を読むだけでもよい変化がありましたが、ぜひワークを暮らしの中に取り入れてみてください。

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