読みました。『オリーヴ・キタリッジの生活』の著者の新作です。
『オリーブ〜』でも感じた、ひとびとがそれぞれ抱える孤独、その中でチカチカ光るささやかな幸福を、この短い小説でも堪能できました。
語られるエピソードに登場するひとびとの人生であったり、Lucyと母親とのやりとりであったり、物語のそこかしこに既視感があります。
私自身のこれまでの人生には極貧も虐待もなかったけれども、出てくるひとびとの胸の中にある孤独感をよく見知ったものとして感じられるのです。
抱えたままの重い記憶に対し、何か劇的な結末が待っているのかと思うとそうでもなく、淡々とLucyの語りが続きます。
Lucyと母親のいる病室を中心に、過去と未来の入り混じった独白がぽつぽつと続く中で、私自身も自分の中にある寂しさの手触りをあらためて確かめてみたりしたのでした。