『ハリー・オーガスト、15回目の人生』読み終わりました



『ハリー・オーガスト、15回目の人生』
単行本で読んだ記憶があるのですが、図書館で見かけたのをいい機会に、再読することにしました。

ハリー・オーガスト、15回目の人生

折しもクレア・ノース作品の原書kindle版がたくさんセールになっています。なぜかこのハリー・オーガストだけはセール対象外なのですが、気になる方はおもしろいのでぜひどうぞ。

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作者について

この『ハリー・オーガスト、15回目の人生』はクレア・ノースのデビュー作なのですが、実は彼女は14歳からプロの物書きとして活躍している、本書出版当時27歳のベテラン作家です。

作品への先入観をなくすため、Catherine Webb名義ではなくClaire Northという筆名で世に出された作品。このほかにKate Griffinという筆名もあります。

やわらかな微笑みを浮かべる著者顔写真が検索結果に出てきますが、この作品はかなりハードボイルドというか痛い描写がたくさん出てくるので、そのギャップにびっくりします。

あらすじなど

この作品の主人公ハリー・オーガストは、記憶を持ちながら同じ人間に生まれ変わる体質を持っています。何度死んでも、同じ時間・同じ時間に、同じ母親から生まれてくることを繰り返す。考えただけでうんざりするような宿命を背負って生きています。

こうしたループものといえばケン・グリムウッドの『リプレイ』をはじめ、いろんな作品が出ていますが、クレア・ノースのこの作品は、また全然違った切り口で物語が展開していき、わくわくしながら読みました。だいぶ前に読んだ(そして痛いところはかなりすっとばした)ので、ストーリーをほとんど覚えてませんでした。そのおかげで、いいことなのかどうなのか、二度目もはじめて読むように楽しめました。

普通に一度だけの生を受けて終える人が送る「一本線の時間軸」と、ハリーのような体質を持ち何度もループする人たちの生きる「面の時間軸」があって、ハリーたちが生きるパラレルな世界にも起こる順番があるのがこの物語のポイントです。

何回も人生を送っているので、回想シーンが多いです。時代や場所があちこちにとぶ構成が苦手な人は、読みにくさを感じるかもしれません。

先日The Invisible Life of Addie LaRueを読んだときに、クレア・ノースの『ホープは突然現れる』を連想しました。まだ読んでいないのですが、他人から記憶されない体質を持つ女性が主人公で、しかも稼業は泥棒で、Addie LaRueと共通点が多いのです。クレア・ノースの作品はこんなふうに、起点となるアイデアはどこかで聞いたことがある話だけど、全然別の展開になる、というものが多いです。

V. E. SchwabのThe Invisible Life of Addie LaRue(『アディ・ラルーの誰も知らない人生』)を読み終...

『ホープは突然現れる』、原書は135円のセール中、日本語版もアンリミの読み放題対象になっています。

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『ハリー・オーガスト、15回目の人生』、15回も転生するのでしかたないのですが、途中やや中だるみに感じる部分も少なからずありました。もう少しキュッとコンパクトにまとめてもいいのかなと思いましたが、2度目もおもしろく読みました。

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