『世界の終わりの天文台』(ミッドナイト・スカイ原作)読了



Kindle洋書セール情報の更新作業で知った、リリー・ブルックス=ダルトンのGood Morning, Midnight。

ジョージ・クルーニー主演で映画化もされている、私の大好きな宇宙もの。

ミッドナイトスカイ 原作

しかもセールで100円台ということで、原書で読みたくなったのですが、読みたい本は尽きないので、サクッと読める日本語版を読みました。

『世界の終わりの天文台』って、原題でばらしてないことをいきなりネタバレしないで!という日本語タイトルです。

すごくおもしろかったので、気になる方はぜひ!
以下、ネタバレ部分は隠してあります。

あらすじと感想

北極圏の天文台に取り残され、外界から隔絶した環境で生き延びる老学者オーガスティンと少女、それから、木星探査というプロジェクトを終えて地球に帰還しつつある宇宙船に乗っている乗組員サリー。

未来に希望を持てない状況の中で、ふたりはそれぞれの場所で、自らの過去を振り返り、今この瞬間に生きるよすがを求めていきます。

一見SF小説のようですが、舞台装置が宇宙だったり近未来だったりするだけで、中身はどっしりした人間ドラマです。

宇宙飛行士というと、数々のテストによって選別されたものすごく人間的にできている人たち、というイメージがあるのですが、そのような人たち--強い肉体と安定したハートを持っていて、人並外れた頭脳を持っていて--であっても、サリーのように後悔や自責の念を抱くような過去があるのだなあと、しみじみ共感しつつ読みました。

ここからネタバレあり(タップして開く)
いっぽうのオーガスティンの方には、同情はしつつもそこまでの共感はなく。

サリーの立場が男性だったら、そこまで罪悪感を抱くことなく宇宙に旅立てただろうに、女性であることってほんとうにままならないことが多いなあと哀しくなったりもしました。

エンディングは、最後のページの一言で「あ!!!!」となり、それまでのページを読み返していくことになるわけですが、読み返すと予想以上にはっきりと答えが書いてあることに気づきます。

その前提で見ると、シロクマの場面もまた違って見えてくるのですが、このシロクマの存在は果たして現実だったんでしょうかね。私はこちらも彼の生命を支え見守る幻のような気がしています。

アイリスの存在、というテーマで見ると、まず思い浮かぶのが『パイの物語』ですね。これは小説が好きすぎて、映画を観れていないのですが、そろそろいいかな。見てみようかな。

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映画『キャスト・アウェイ』も。

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サリーの方は、謎の残る終わり方でしたが、希望が持てる素敵なエンディングだと思います。レビューでは「もやもやする」という声もありますが、私は全部を解説したり解決したりしないほうが好きかな。

Netflix映画の方は、どんなストーリーになっているのか気になります。
予告を見る限り、多少の説明がプラスされ、ちょっと違う展開になっているところもありそう。
北極圏の自然や宇宙空間の厳しくも美しい光景を映像で見てみたいです。

ジョージ・クルーニー主演『ミッドナイト・スカイ』予告編 – Netflix

まるで映画を見ているように情景が浮かぶ、いい小説でした。

中国語版も出てますね。

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