Machines Like Me(『恋するアダム』新潮クレストブックス)読みました



イアン・マキューアンのMachines Like Meと、1月に出た日本語版『恋するアダム』を読みました。

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『恋するアダム』って邦題、どうなんでしょうか。
内容は原題から受けるイメージと同じく、甘さはありません。
中国語版のタイトルは原題に則して《我这样的机器》。ちびちび微信读书で読んでます。

Amazonについてるレビューはネタバレしすぎ…。

あらすじとざっくり感想

主人公は、チャーリーという名の30代男性。定職にもついていなくて、屁理屈ばっかりこねてる割には行動と結果が伴ってない、なんとなくイケてないキャラクターです。

彼は偶然手にした親の遺産で、発売されたばかりの最新アンドロイドを購入します。アンドロイドは男性型で、名前はアダム。
衝動的に買ってはみたものの、これからの生活費も十分でないことに気づいて、やっぱり買わなきゃよかったと思うようなイケてなさです。アダムを売らずに手元に置いていこうと思う理由が、アパートの上階に住む十歳年下のミランダの気を引くためだというのも、やっぱりなんだかイケてない。

舞台は1982年のロンドンですが、現実とはまったく違う様子の1982年です。パラレルワールドというのか、起こったことが起きてなくて、現実では起こってないことが起きている世界。この1982年のロンドンでは、ちょっと大金を払えば人間と見間違うほど精巧なアンドロイドを手に入れることができます。

この、パラレルな1982年がどんな世界かという説明のボリュームが大きくて、正直英語では全然理解できていませんでした。
街で起きているデモとかイギリスが噛んでいる紛争とか、ふわっとは把握できるんだけど、それが話の本筋とどうかかわってくるのか、まったくわかりませんでした。日本語(そして巻末の訳者解説)を読んで、ようやくなるほどと納得できました。

そこをガシガシとばして読んでも断然おもしろかったんですけど、日本語で読んで、自分のわかってなさを直視しつつ、理解を深められてよかったです。

日本語版を読んで大好きになった作家の本は、英語だと歯が立たないと感じることも多いんですけど、それでもチャレンジし続けようと思います。日本語訳書の力を借りつつ。

日本語版の帯にも書いてあるので、これはネタバレには該当しないと思うのですが、その人造人間アダムが、よりによってチャーリーの想い人、ミランダに恋してしまいます。おかしな三角関係と、想われ人ミランダの抱える秘密をメインに、ストーリーは進んでいきます。

まあとにかく、アダムがすてきに気持ち悪い。気味悪いったらありません。それでも、不思議な形で人間とアンドロイドの間に絆のようなものが生まれているのが興味深かったです。
エンディングでは、人間とアンドロイド、それぞれの愛のかたちが示されるんですが、人間の脳のすごさと不思議さについてしみじみ考えさせられました。

スピルバーグ監督の映画『A.I.』でも、人間とアンドロイドとの愛がテーマでしたが、やっぱり人間って不完全というか矛盾のかたまりだから、それをアンドロイドに完全に理解させるのなんて無理だよなあと思います…。

日本語タイトルや帯文からは想像もつかないところに連れて行ってくれる作品です。

イアン・マキューアンは大好きな作家のひとりです。この作品は彼の持ち味である気持ち悪さ全開でとてもよかったですが、読み手を選ぶ本かも。著者の本の中で読みやすくておすすめしやすいのは、『甘美なる作戦』かな。

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日本語版、村松潔訳もいつもすばらしいし、新潮クレストブックスのたたずまいが大好きです。
クリーム色の紙に、目にしただけで切なくなるようなフォント、落ち着ける余白。

恋するアダム レビュー

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