先日久しぶりに毛丹青さんのブログを読みに行き、国際交流基金(去年子供をほったらかして駆けつけた余華氏の講演と同じ主催!)が中国の作家の李鋭氏を招かれたことを知りました。
中国文学にそう明るくない私が、初めて耳にする名前です。
早速ネットで探し、短編小説「合坟」を読みました。
厚土・合坟
著者の経歴を見て、漠然と難しい文章を想像していたのですが、見慣れない単語が多いことを除けば、とても読みやすい文章でした。
そう長くない物語ですが、情景がたちまち頭の中に広がり、すっかり話の中にのめりこみ、気がつけば「鼻子酸酸的」、胸が締めつけられるような気持ちで読み終えました。
少しずつ色を濃くしていく日暮れ時の空の下、墓の上でくるくると回る赤い紡錘、脳裏に広がった物悲しい風景がいつまでも消えません。
文革、下放をテーマにした小説と聞くとどうしても辛い話を連想してしまい(映画「シュウシュウの季節」はやりきれなかった!)、敬遠してしまうのですが、著者の作品を少しずつ追いかけてみたいなと思いました。
新作の農機具の名前をタイトルに掲げた短編集「太平風物」、少し読みましたがこちらも興味深いです。
“用方块字深刻表达自己” ——专访中国作家李锐
方方・独自堅守
「太平風物」(新浪読書)
戴思杰〈巴爾札克與小裁縫〉與 李銳〈合墳〉
こちらは台湾の方のブログ記事。ダイ・シージェの「バルザックと小さな中国のお針子」と、上述の「合墳」、少年少女が奥地に下放されるという共通のテーマを持つ2つの物語を比較した感想が載せてあります。
「バルザックと~」の結末は少年少女3人の解放を示していましたが、「合墳」の村人たちは果たして少女の面影から解放されたのでしょうか…。
毛丹青さんからのブログからもうひとつ、アニー・ベイビー(日本語ではこう表記することになったんですな!!)の「さよなら、ビビアン」の話題があり、「蓮花」の残り数ページをほったらかしにしていることを思い出しました。過去と現在が行ったり来たりする上に、三人称がたくさんあって、誰が誰だかわからなくなって混乱していたのでした。
毛丹青さんの記事を読んで納得しました。
なるほど、意識的に「我」を排除しているのですね。残りあと少しをプリントアウトしました。ちゃっちゃと読んでしまおう。
さよなら、ビビアン アニー・ベイビー
李鋭という作家を知る
