『旅するゲームブック:ウィーン』を読みました



note経由か、stand.fm経由か、とにかくいつもとは違う場所で偶然出会った『旅するゲームブック:ウィーン』という本。

見つけたときは、モノクロバージョンがすでに売り切れていたのですが、ほどなくカラー版が再版されたので、いそいそ予約購入しました。

読むたびに違うストーリーを楽しむ体験

「ゲームブック」という名がしめす通り、読み手には次の一手を自分で決める選択肢が用意されています。

前から順番通りに読んでいくのではなく、指示にそってページを進んだり戻ったり、どこにたどりつくのか自分でもわからないまま、うろうろと本の中を探索することになります。

この感覚が、ノープランで知らない街を歩く感じにすごく似ている。

もう疲れたから、この先に行くのはあきらめよう。
でもそうすると、もしかするともう二度と足を運ぶ機会はないかもしれない。
そう思いながら近くにあったカフェに入って、甘いケーキと香ばしいコーヒーを飲んでいると、まあいいか、という気持ちになる。

あっという間にゴールのひとコマについてしまって、ああ、思ったよりあっさり終わってしまった、もう少し巡っていたかったな、と名残惜しく感じるのも、旅と同じ。

旅したくてもできない今だからこそ、いっそう味わい深い一冊です。

旅するゲームブック

バーチャルな旅を楽しむひとくふう

本には、地図がセットでついてきます。A3サイズで、開くと思ったよりも大きい。
地図には川と目印の星マークがついているだけなので、自分で場所の名前を書いていくことになります。

この本に登場する場所が記されたGoogle Mapへのリンクも用意されていて、より詳細な情報にもアクセスしやすいくふうがされています。

グループツアーなどでバスに乗せられて観光すると、短い行程の中で効率的にたくさんの名所を訪れても、よほど熱心に地図を見ていない限り、自分の巡った場所の位置関係を把握することは難しい。

このゲームブックでも、ある意味ではバスツアーと同じように、自分の意志とは関係なく各所に連れていかれることになりますが、たどりつくコマのひとつひとつを地図上で確認していく作業を通して、ウィーンの街についての「土地勘」を育てていくことができます。

訪れるスポットには番号が振られています。その番号をたよりにページを行き来するのですが、デザインにくふうが凝らされていて、このページの移動がとてもスムーズにできました。
黒く縁取られた写真と、ページ端に用意された黒いタブ。

同じページに複数の場所の情報が含まれるのですが、不思議と目移りせず、目的の場所の写真と文章にぐっとフォーカスできます。

旅するゲームブック

順序通り読んでも楽しい

自分の選択によって、旅のルートが変わっていくのが楽しくて、何度も繰り返し読んでしまいます。

どうしてもたどりつけない場所があるのがもどかしく、最初から順に、番号通りに読んでいくのも、ガイドブックを読むのとはまた違った楽しさがあります。

エゴン・シーレの絵が好き(好きと大きな声で言うのははばかられるのだけれども、なぜかもうれつに引き寄せられてしまう)なので、ウィーンはいつか訪れてみたい街のひとつです。そのウィーンを、こういう形で歩き回れるのはとても嬉しい。

さらには制作過程まで知ることができる。

『旅するゲームブック:ウィーン』制作記録

6月販売分は完売、7月1日から再版だそうです。旅好きのかたはぜひ。

旅するゲームブック:ウィーン | Bitaby|ビタビィ powered by BASE

◼︎商品概要 オーストリア、ウィーンの街を旅するゲームブック。プレイヤーの選択肢で、観光する行き先が変化します。カフェや美術館、歴史的な建築や遊園地など数百の選択肢の中からお気に入りの場所を見つけて、ウィーンの地図を作りましょう!旅には複数の分岐があるので、何度読んでも楽しめます。

旅に出たいなあ。

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