読むスピードが比較的速い私ですが、行きつ戻りつしながらじっくりゆっくり楽しめた本でした。
自分の「タスク管理」の来し方を振り返る
タイトル前半の「地獄」というワードに目が釘付けになってしまって、後半の「超」入門という優しげなワードが素通りしてしまいます。
どちらかというと、後半の「やさしさ」に食いついていただきたい本です。
第1章から第6章までは、これでもかというほど丁寧に、「タスク管理」界隈の専門用語について解説があります。
これまでの私は、タスク管理について書かれた本をたくさん読んできましたが、特定のシステムだけに絞って取り組んだことはありませんでした。
本の中の、自分に合いそうなところをつまみ食いして生活の中に取り入れて、いろんな本に書かれたいろんなやり方をパッチワークのようにつなぎ合わせ重ね合わせながら、自分のやり方を構築してきました。
そういうこともあり、タスク管理を語るときに使われる用語について深く考えたことがあまりありませんでした。
タスクとTo-doとやること、これらの違いもよく考えずになんとなく使っていました。
こうした、なんとなく使ってきた言葉、なんとなく気に入って暮らしに取り組んでいるやり方、頭の中の引き出しにとりあえず突っ込んでおいたいろいろなこと。
この本を読んでいると、こういったことすべてにちゃんと名前や所属先があることがわかり、嬉しくなります。
ページを繰るごとに、「自分だけのやり方だと思っていたことに名前がついている」という発見があり、とても刺激的です。
(バレットジャーナルについても紹介があります!)
「タスク管理」はこわくない
「第9章 人生の舵を取るタスク管理(あるいはタスク管理の限界)」から「おわりに」にかけては、読みながらうなずく回数が格段に増えます。
タスク管理というと、とにかく効率を追い求め、自分で自分の自由な時間を奪ってしまうような印象を持つ方も多いでしょう(タイトルの「やること地獄」のように)。
本の中に「人間には弱さがあって、それを補佐するのがタスク管理であり、何かすごいことを成し遂げるための方法ではありません」とあるように、決して「だめな自分を矯正するための装置」ではありません。
そのことについて、繰り返し語られています。
タスク管理という言葉になじみのない人が、本で紹介されているメソッドを少しずつ取り入れていくのもいいでしょうし、タスク管理を生活に取り入れている人にとっては、「このやり方、私はここで使ってる!」「このやり方にこんな名前がついていたんだ!」というように、答え合わせ的な楽しみ方もできる本です。
手帳の使い方を考えるおともに
そして、同時期に出たということもあり、自分の本とも引き比べてみたりもしています。(すみません乗っかって自分の本についても書きます)
今回「英語学習とノート術をテーマにした本」ということで、タスク管理周辺の専門用語をできるだけ使わずに、私が助けられてきたタスク管理のいろいろを紹介できたらと考えました。
タスク管理について深く丁寧に解説された「やるおわ」とは一見正反対の方を向いているように見えますが、最終章で語られていることと、私が自分の本で伝えたかったことがリンクしていることに、とても深い感慨を覚えました。(私の本のここのことが、「やるおわ」のここに書かれている、と、対応表を作りたいくらいです)
個人的な経験をもとに書かれた語学学習法の本は、どうしても、著者本人の成功に注目されがちですし、売り文句としてもそういうワードが並びがちです。
しかし、本の中で「こうすれば必ず実現します」と書いてある通りに著者と同じように行動したとして、著者と同じ成功をつかめるとは限りません。
万人にフィットするただひとつの正解を探しても、そんなものはどこにもありません。自分に合ったやり方(それも一つとは限らない)を探し続けるしかないのです。
星の数ほどある「こうやるといいよ!」というアイデアを実際に試してみて、自分に合ったものを見つけ、暮らしに取り入れながら自分仕様にカスタマイズしていく、そういう力をつけていくことで、少しずつ自分をラクにできることが大切だと考えています。
そのような力をつけるために必要なツールが、「やるおわ」ではたくさん紹介されています。
タスク管理ツールとしての手帳をうまく使えないという人にもぜひ読んでほしい本です。