「ガントチャート」の定義も少しずつ変わる?



言葉はいきもので、時代の流れとともに変化していきます。

ケージとゲージ

動物を搬送するときに使うケージ(cage)のことを、「ゲージ」と呼ぶ人のことが多くなっているということを、何かのニュースで知りました。

cageとgauge、もともとの意味が全然違うので、びっくりしました。編み物をしていたら、「ゲージ」という言葉は身近なものなので、間違わないと思うのですが、語感が似ているというだけで、間違った呼び名がこんなにも普及してしまうものなのですね。

バレットとブレット

「バレットジャーナル」という呼び名についても、さまざまな議論があります。私は自分なりにネット上での伝播の状況を観測し、どの呼称を使うか検討しました。おりひかさんの一連のツイート・考察がとてもためになります。

「モレスキン」と「モールスキン」の例もあります。
外国語の原音と外来語の日本語表記とを、完全に同じにすることはできません。
バレットにしてもブレットにしても、みんなを満足させることはできないでしょうから、これはもう仕方ないことなのかなと思っています。

そしてその定義も変わっていくかもしれない

「バレットジャーナル」の基本がどんなものか少しは知られるようになってきましたが、もしかするとずっと後には、いろんなことが記憶の彼方に流れていき、「バレットジャーナル」イコール、手の込んだ自作手帳のこと、になっているかもしれません。

この手作り手帳術のことをどうしてバレットって呼ぶんだろう、と誰かがふと首をかしげることなんかを想像すると(今この時にも存在してそうですけど)、なんだか愉快な気持ちになります。

ガントチャート

前置きが長くなりましたが、最近気になっているのが、「ガントチャート」という言葉です。

ガントチャート – Wikipedia

横軸には日付、縦軸にはプロジェクトを進めるために必要な作業のリストが書かれます。
太いラインを使って、どの時期にどの作業を行うかが明確に示されます。

最近では、横軸に日付が並んだ月間予定表のことをまとめてこう呼んでいるのをよく見かけるようになりました。

ガントチャートのテンプレートが、月間チェック表として使われることが多くなり、その結果、月間チェック表が「ガントチャート」と呼ばれるようになった、という流れでしょうか。

この「ガントチャートダイアリー」の使い方にも、本来の使い方に加え、「チェック表として使えます」という紹介があるように、このタイプのマンスリー表を、チェックリストとして使う需要はすごくあるんだと思います。

それはチェックリストであって、ガントチャートではなくなるのですが、このあたりから、誤用が始まっていく感じですね。

私自身、「ガントチャート」という言葉をあまり何も考えずに使っていたのですが、本の原稿を書いているときに調べてみたところ、本来の定義とは違う意味合いでも使っていたことに気づき、修正しました。いつまでたっても未熟で、知らないことだらけです。

編み物の「ゲージ」と同様、本来の「ガントチャート」が身近な人にとっては、違う意味合いで使われていると、気持ち悪いだろうなあと思います。

とはいえ、言葉はいきもの。使われなくなって消えていったり、間違って定着したり、使う人たちによって思いもかけない変化を遂げていきます。日本語に限らず、どんな言葉も変化してきたし、これからも変化していくのでしょう。
いろんな言葉が生まれ、変化していくのを、ワクワクしつつ見守っていきたいと思います。