ペンとか万年筆とか、沼のキワをあやうい足取りでかろうじて落っこちずに生きてきた私ですが、ひょんなことから自作キーボードの沼にハマってしまいました。
左右分割キーボードです。
分離キーボードの存在に気づいた
この春くらいに、肩こりがひどいという話をしていたら、左右分離タイプのキーボードを勧められました。
キーボードが左右に割れてるんです。最初見たときはびっくりしました。
これが最初に使ったMistelのMD770です。静音赤軸という、オフィスでも使えそうな静かなタイプ。
いいお値段がするので、いきなり買う勇気はなく、Rentioにあったので2週間借りて使ってみました。
(ブログに書く気満々で撮ったけど結局使いこなせなくてボツになった写真が日の目を見ました)
レンティオいいですよ。ルンバやブラーバ、アクションカメラなんかもレンタルしてお試しできます。
Mistel Barocco
で、使ってみたんですが、思ったよりでっかい。厚みがあるので私にはパームレストが必要でした。
持ち運びできるサイズ感でもないし…、コレジャナイナーと購入をあきらめました。
でも、分割キーボードがすごくいいってことに気づいてしまったんです。
巻き肩が度を越して整形外科で注射してもらう状態にまでなってるので、胸を開いて肩甲骨を寄せた姿勢でキーを打てるのがめちゃくちゃ新鮮でした。
肩もそうですが、手首も楽になりました。
これまでは、肘から下の各部をねじったまま、手首から先を猛烈に動かしてたんですね。
自作キーボードの世界
で、よりコンパクトな分割キーボードを探すうちに踏み入れたのが自作キーボードの世界。
個人の方がオリジナルのキーボードを設計し、それを頒布しているという、そんな世界があったのです。知らなかった…。
秋葉原にある遊舎工房というお店でキットを購入することができます。オンラインショップもあります。
そこにはいろんな左右分離タイプのキーボードがありました。
完成品ではなく、キットを購入し、はんだづけなどの工程を含む組み立て作業をするものなので、自分には難しいかなーと思っていたところに、「はんだ付け済み簡単キット」が販売されているのを見つけ、衝動的に買ってしまいました。
→入荷されてます!!年末年始に工作しましょう!
(昨日ツイートした時にはまだ在庫があったけど、今見ると完売になってますね。入荷連絡を受け取る手続きをしておくと、次の入荷が早くなるかも。)
トラックボールも使ってみた
とはいえ仕事が忙しく、キットを買ったまま放置。
そののち、肩や腕を守るため、マウスに代えてトラックボールを使い始めました。
親指タイプか人差し指タイプか悩んだんですが、親指まで痛めてしまうのがこわくて人差し指タイプにしました。結果大成功。最初は戸惑いましたが、すぐに慣れました。
細かい作業はやっぱり慣れたマウスの方がやりやすいのですが、ふつうに文章を打つだけの場合はトラックボールめっちゃ楽です。なんか肩や腕の調子悪いなーと感じている方はトラックボールを試してみてはいかがですか?
7sProを組み立ててみた
で、買ったまま放置していたキット。夏が終わってちょっと余裕が出てきたので、組み立ててみました。
はんだづけは終わっているので、基本必要な工具はドライバーだけ。
基盤には、ProMicroとTRRSのポートとリセットスイッチがすでにはんだ付けされ実装済み。
実装済みのプレートを含む左右各4枚のプレートを、順番通りに組み立てます。このブログ記事がめっちゃ詳しい。
キットには含まれないキースイッチ、キーキャップをはめたら完成。
ファームウェアも書きこみ済みなので、左右を3.5mmプラグのケーブルでつないで、Micro BのUSBケーブルでPCとつなげばすぐに使えます。
USBケーブルは先達の勧めの通り、マグネットで着脱できるものを買いました。
ChromeブラウザでRemapにアクセスすれば、キーの割り当てをカスタマイズできます。こちらも直感的に操作できるスーパー初心者フレンドリーな仕様。
簡単キットとはいえ、組み立てる順番を間違えてやり直したり、必死すぎてブログ用の写真撮る余裕もありませんでしたが、なんとかうまくいきました。
こんな私でも自作キーボードにチャレンジできるよう、簡単キットを販売してくださることに感謝です~。
(左右分離キーボードだけど、くっつけると一体型として違和感なく使えます。)
アリエクで散財
キットにはキースイッチやキーキャップはついていないので、自分で買わなければなりません。
最初のは遊舎工房で買いましたが、いろいろ見ていたら、アリエクで安く揃えられそうだったので、気になるキースイッチやキーキャップを買ってみました。安い安いと思ってカートに放り込んだら結構な金額になってびっくりしました。このあたりから自分が沼にハマりつつあることを自覚します。
7sProはキーが少ないものの、TabやCaps Lockサイズのキー数が多いので、キーキャップセットによっては「まだ足りない」ということになります。買い足すキーキャップについては設計者さんのガイドを見ながらキーが足りるか確認しました。
メカニカルキーボードというのは、全般的にとてもよいお値段がするものなんですね。
自作キーボードも同様に。
自作キーボード世界のひとびとのブログやYouTubeを見ていたら、最初はひとつひとつのお値段の高さに驚いていたものの、徐々に慣れてしまって頭がバグってきております。一般的にはキーボード自体が千円くらいで買えてしまうのに、キーキャップだけでいちまんえん越えとかちょっとおかしいって思うんですけど、界隈のひとたちのブログを読み続けてると、だんだんそっちが普通になってきます。こわい。
(ブラックフライデーの盛り上がりにのせられてアリエクでAKKOというメーカーのキーキャップを買いました。これとは違う色だけど。来るのが楽しみ。)
→届きました。
https://twitter.com/marie__100/status/1602860729019011073?t=50stCysuoWHo3f1LZUNblQ&s=19
キースイッチを選んだ
このキーボードはキースイッチをはんだづけしないソケット式なので、気軽にいろんなキースイッチを試せます。
スイッチの種類によって、全然打鍵感が違うのでびっくりしました。
疲れたくないから軽いのがいいなと思って、軽さで選んだら、「なんか違う」と感じたり。
スペックの数字的には重いはずのスイッチが、軽く打ちやすく感じたり。
スイッチテスターで確認しても、やっぱり実際に文章を入力してみるとまた違うんですよね。
うまくいけば職場に持っていきたいなーとか考えてるので、打鍵音小さめという条件はマストです。
いろんなひとの経験談を参考に、キースイッチはKailhのサイレント茶軸がよさそうだなと思って、採用。
7sProのサイズ感とかデザインもすごく好きだったんですけど、一気に沼にハマってしまったのは、このサイレント茶軸のおかげではないかと思います。ストンストン、コトコトっていう打鍵感に「なにこれー!めっちゃいいー!」となりました。(ここまでオタクの早口で再生してください)
今はサイレント茶軸とピンク軸、販売終了になって後継のmidnightなんとかかんとかというのが出ているみたいです。
分離キーボードの使い心地
普段右で打ってたBのキーが左にあるため、何度も指先が虚空を切っていたのですが、だんだん慣れてきました。
考えてみると、これまでほとんど小指を使わない打ち方をしてるしホームポジションとかあんまり考えず結構めちゃくちゃに打っていたので、これを機にちょっと正しい打ち方の練習をしようと思いました。
今までは前のめって肘がギュッと縮こまりがちだったのですが、左右の腕をねじらず自然に出し、肩から肘の曲げ具合が直角以上になるよう気をつけながら、手首も無理な動きにならない姿勢を心掛けています。
キー配列のカスタマイズが想定外に良い
左右が割れていることにはわりとすぐ慣れましたが、最初はカーソルキーがないことにとても不便を感じていました。
Mistel Baroccoは88キー、7sProは63キーなのでキーの数がだいぶ少ないです。
Remapというオンラインのツールを使って、キーの割り当てを簡単にカスタマイズすることができます。足りないキーを補うだけでなく、必要なキーを必要な場所に配置できる。
レイヤーという機能を使って、ひとつのキーに複数の役割を持たせることができるのがとても便利なのです。
(メイン以外のレイヤーはまだまだ流動的なので、掲載保留とします。)
十字キーや数字をレイヤーでホームポジション周辺に割り振ってみました。
使っているうちに、「これはここにあったほうが使いやすい」というのがわかってくるので、ちょいちょい変更しながら使っていきます。
分割キーボードは親指で打てるキーの数が多いので、Enterやバックスペースを親指に割り当てることができます。
そうなると、右手首を外向きに振る回数を極力減らしたくなり、長音記号をGとHの両方に設定しました。
レイヤーをカスタマイズすることで、文章をただ打つだけならホームポジションからほとんど動かずに打てるようになり、かなり腕と手首がラクになりました。知らないうちにすごく手首を酷使していたことに気づきます。
7sProを使ってみて、右上のバックスペースキーが遠く感じるようになりました。
キーの割り当てをカスタマイズできるのがこんなに快適だとは!
肩は楽になるのか
左右分離キーボード、確かに胸を開いた姿勢を維持できます。ほんとうに巻き肩がひどいので、ぱかっと割れたキーボードが目の前にあるだけでも姿勢に意識が向くのもいいです。
7sProはHHKBのキー配列を踏襲していて、HHKBの存在はずいぶん前から知っていたものの、自分とは縁のないものだと感じていて、HHKBを愛しているひとびとのコメントを見ても「へぇーそうなんだー」と思うだけで試そうともしませんでした。
結局キーボードなんてどれも同じではないですかと思っていて、今使ってるDellのノートPCのキー配列のひどさを自覚しつつも自分の方を機械に合わせてました。
そんな私が、いまや、キーボードに愛着を感じるようになり、スイッチの軽さやキーキャップの形状が気になるようになってしまいました。沼です。
キーキャップ着せ替えの魔力
そして、たくさん販売されているキーキャップ。かわいいデザインが多すぎて目移りします。
人形を着せ替えるみたいにキーボードをお色直しさせたくなる…。
ほかのユーザーがどんなふうに使ってるのか知りたくて、Redditに入り浸るようになりました。沼にどっぷりです。
ほかの形状のキーボードも使ってみたくなる
遊舎工房さんにはほかにもいろんなタイプの左右分離キーボードが販売されてます。
別のタイプのキーボードも使ってみたくてうずうずしてます…
考えてみたら、デスクワーク仕事でしかも趣味もブログ、ときどき本も出す、という私にとっては、キーボードって椅子と同じくらい長時間体に触れていて健康に直結するものなんですよね。
最初はお値段が高くて躊躇してましたが、ほんとに買ってよかったと思います。
沼にハマりたてなので、お詳しい方、ぜひ色々教えてください。
職場用にもう一個ほしい…。
(手持ちのガジェット用ケースにギリ入ります。)
備忘録
7sProを買う前にいろいろ調べたことをまとめておきます。
結構フリマサイトに組立済品が出ている
自作キーボード・パーツを取り扱っているオンラインショップ
・遊舎工房:実店舗には工作室があり、スタッフのサポートも受けられます。
・TALPKEYBOARD
・ふもっふのおみせ
・BOOTH:キットはもちろんかわいいキーキャップがたくさんあって困る。
・Aliexpress
組み立てるだけの分割キーボード
・遊舎工房はんだ付け済み簡単キット
・遊舎工房キーボード組み立てサービス
・Corne Cherry
・YMDK Split64