習慣トラッカーで習慣化させるために忘れてはいけない大事なこと



習慣トラッカー習慣化リスト。いろいろな呼び名がありますが、「習慣化したいことをリストにして、毎日できたらチェックする」図表です。

毎朝リストに目を通すことで、やるべきことを忘れない。
やり終えたらチェックを入れる、あるいはマスを塗りつぶすことで達成感を得て、毎日続けることができる、といったメリットがあります。

ここ数年、バレットジャーナルで新しい月のセットアップをするとき、いつもこの習慣トラッカーのページを設けるのですが、なんとなくうまく運用できていない違和感がありました。

習慣リスト

習慣トラッカーでほんとに習慣化できるのか

私が自分のトラッカーを見て思うこと。

リストのうち、習慣化できたものは、トラッカーがあってもなくても習慣化できたであろう種類のことがらです。

ある程度強制的にしないと習慣化できないだろうなと思っているものは、トラッカーに並べるだけでは、いつまでたっても習慣化しないのです。

他の人はどのようなことをリストアップして、どうやって続けているんだろう、と、ネットを検索して研究してみましたが、どうも参考になるものが見つかりません。

ああでもない、こうでもないとえり好みしているうちに、私が探しているのは、「続けるためのコツ」なんだなと気づきました。

ほんとに見たいリストのエッセンスは、ネットには上がってこない。

意志の力に頼らない習慣化

習慣化リストにしろ、やることリストにしろ、優先順位をつけてそれをきちんと守ることが大事です。
「守る」というのは意志の力なので、体調や気分次第ですぐにどこかに逃げ隠れしてしまう「意志の力」に頼るのはとても危険。
優先順位通りに実行できる」仕組みを作ることが必要。

私にとっては、場所と時間を指定するのがいちばん手っ取り早い仕組みづくりの方法です。

この考え方の基本は、2005年ごろに読んだ佐々木かをりさんの手帳術の本から受けた影響が大きいです。

習慣トラッカーのページを開くという第一の砦

習慣トラッカーに書いてあることを毎日やりとげるためには、まず毎日最低1回はリストを見るという行動を起こさないといけません。

最優先にすべきこのタスクが、意外に実行できない。

特に私の場合、やりたくないけどやるべきことがリストに入っていると、逃げの意識が働いて、習慣化リストを見ること自体をしなくなります。

「マスを埋めることで達成感を得られる」のは確かにそうなのだけど、ただ塗りつぶす喜び、それだけをエサに、やりたくないことをやれるほど単純ではありません。人間は。

そんなに簡単に習慣化できるなら最初からやってる

ダメな完璧主義なので、連続記録が途絶えただけで何もかもが嫌になってしまい投げ出す傾向があります。

中検やTOEICなど、期限があることに対しての習慣化は比較的うまくできるのですが、漠然と日々の暮らしを向上させたいといった目的での習慣化はてんでダメです。

外部からの強制力が働かない限り、気が進まないことを習慣化させるのはほんとうに難しい。

習慣にしたいものの中で習慣化できているものはほんのわずかで、しかも一度習慣化できても、ちょっと生活環境やリズムに変化があるだけであっけなく消えてしまいます。

それでも習慣化リストを毎月作って、尻すぼみになっても、見て見ぬふりをする項目がたくさん出てきても、続けることには意味があると思っています。

習慣化リストは日々変化していくもの

マスを塗りつぶすことで前進している感じがここちよいのだとしたら、習慣トラッカーは毎月変化しなければなりません。
いつもいつもリストの内容が同じだったら、マスを塗りつぶしていても停滞を感じることになる。

前月全然習慣化できていなかったら、その理由を考えて、続けられる仕組みを考えてみる。

数値の累計を記録したいのなら、マスを塗りつぶすよりほかに良い方法があります。
アナログの習慣トラッカーのよいところは、自分の気分や興味の方向、数字で出ないものが見えてくるところだと思っています。

習慣化の成功例

ノートをつけ続ける

ノートに記録するということ自体、数年前の私にとっては難しいことでした。
ノート1冊にタスクと備忘録を集約(スケジュールはカレンダーアプリに集約)して、どこに記録したかという最初の部分でつまずかずにすむことで、忘れっぽい私のミスはかなり減りました。

いろいろな目的に特化されたアプリは便利ですが、あまり数を増やしすぎると、「ジャンルAの記録はXに、ジャンルBの記録はYに」という振り分けルールを覚えておく、という余計な手間が増えてしまいます。

バレットジャーナルの、それなりにカテゴライズしつつ、何もかもをデイリーログ1か所に放り込んでおけるシステムがピタッと私にハマっています。

ここに書いておけば大丈夫」という安心感が、継続のための推進力になっています。

甘いものを食べ過ぎない

日本にいるとなぜか太りません。
(中国では1年間で10数キロ肥えたので、太らない体質というわけではなさそうです。)

太らないので、もともと大好きな甘いものに抑えがききません。
しかも野菜が嫌い。肉とナッツだけ食べて生きていきたい人間です。

とうとう2年前、健康診断で糖尿病予備軍の警告が来ました。
今年に入って、近い親族が糖尿病の治療をしていることを知り、ようやく、強い危機感を持ちました。

健診の結果をスマホで撮って、お気に入りフォルダに入れています。
お気に入りフォルダは定期的に目を通すので、そのたびに目に入ってきます。

「スイーツを買わない」「甘いものを食べない」という項目はWay of Lifeというアプリで記録しています。

お気に入りの習慣化アプリとして以前ご紹介したこのアプリを、マス埋め隊のタスクを管理するため、久しぶりに使っています。 習慣化アプリ:W...

健診結果の画像はかなり効果的です。

夫の2年前の肝臓の数値が悪かった健診結果も、写真に撮って冷蔵庫ドアに貼っておきたい。怒られるからやらないけど。

「これをしないと、こうなる」「これをすると、こういういいことがある」というのが深いレベルで納得できていると、そのタスクを実行するためのハードルが下がるのだなということが実感できました。

他人と約束する

目標をSNSなどで公言することでモチベーションを維持する、という方法があります。

実際にやってみたことがある人にはおわかりだと思いますが、拘束力としてはそこまで強くありません。
そして、みんな見てないかなあと思っていると意外にしっかり認識されていて、「ああこの人また『やるやる詐欺』だったなあ」と思われて終わりです。思われても思われても、思いつきで新しいことをはじめる性懲りのない私。

人の目を意識して、その注目や期待に応えたい!と強く思える人と、その意識をずっと保てない私のような人がいて、後者の場合は「目標を公言」はあんまり効果がないかもしれません。

習慣化リストをつけてみて、第三者が関わってくる場合、自分にとって効果があるのは「実行しないと実際に他人に迷惑がかかる」「自分に具体的なペナルティが課せられる」という条件が付いたときです。

他人から設定された締め切りがあることが、かなり大きな推進力になります。

自分との約束を守る方法

逆に自分との約束は難しい。

「これができたらこれを買う♡」というルールを作っても、ほんとに欲しかったら結局すべての条件を無視してさっさと買ってしまいます。

「これをやらないとおやつなし」というルールを作っても、冷蔵庫のケーキを(これ賞味期限切れちゃう)と理由をつけてルールを破ってでも食べてしまいます。

なんという自制心のなさ…。
この手のやりかたで、自分をコントロールすることはできませんでした。

あまり気が進まないことを習慣化するためには、そのタスクが(「やるべきだ」という義務感ではなく)自分にとって良いものだという強い認識と同時に、できるだけ小さなタスクに細分化して、最初の一歩を踏み出す労力を最小限にしておく必要があります。

結婚してからずっと、定期的なお風呂の掃除をさぼって、大掃除をする羽目になってからいつも後悔するということを繰り返していました。

しかも最近は風呂の大掃除をすると必ず風邪をひくようになったので、大掃除を回避するために、毎日お風呂に入っている間に少しずつ掃除できるよう、タスクを細分化して、入浴中に実行するようにしました。

私の場合、結局、自分に不都合が起きることが具体的に想定されないと動けないんじゃないか、と、つくづく感じます。

そう考えると、習慣化しようとしても習慣化できないことは、心の底では「そこまで必要でない」と思っているのかもしれません。

自分が最優先したいこと、自分にとって大事なことをきちんと整理してみて、ほんとうに習慣化が必要なことであれば、心の中の「そこまで必要じゃない」と思っている自分を説得しなければなりません。

そして、ほんとうに「そこまで必要じゃない」ものだと心底納得できれば、無理してやる必要もないのです。

意外に、「やらないといけないと思い込んでいたけど、ほんとうはそこまで必要じゃなかった」ということは多い気がします。

見えていないタスクを認識する

単語50個覚える」という項目を習慣トラッカーに書いただけで、毎日できる人はなかなかいないと思います。

単語を50個覚えるために、まず単語帳を手に取って今日のノルマのページを開く、という行為が必要になります。
それができないと、「単語50個覚える」というタスクに進むことができない。

もうひとつ、この手のタスクで見落としがちなのが、「毎日50個完璧に覚えきれるわけではない」という事実です。

前日、前々日、これまで覚えた内容の復習が必要になりますが、毎日の「単語50個覚える」に気を取られすぎて、復習しないまま続けていても、最初の頃にやった単語をすっかり忘れている、という悲しい事態になりかねません。

1週間継続した後の「単語50個覚える」というタスクの陰には、「それまでに覚えた300個を見直す」というタスクが隠れているのですが、この見積もり時間を勘定に入れていないと、計画は破綻してしまいます。

「単語を覚える」という日課がまったくない人が、新しく習慣にしようとするなら、まずは「いつ、どこで単語を覚えるか」ということから決める。場所と時間で自分を予約する

朝少し早起きして時間を取るなら、寝る前に、当日やるページを開いて机の上に単語帳を置いておく。
朝ちゃんと起きてページに目を通せたら、タスクその1が完了。
タスクその2は単語に目を通す。「50個を1日で覚える」というタスクは現実的ではないので、「目を通す」に変更。
1日目は単語帳の1-100、2日目は20-120、というふうに、できれば塗り重ねていくやり方で計画を立てる。
1週間やってみたら振り返りをして、一日のノルマを微調整しつつ続けていく。

毎日続けたいと思っても続けられないことの陰には、こうした見えていないタスクがたくさん存在している可能性があります。

習慣化リストを見直す

今回、自分の習慣リストを見直して、次回からもう少し工夫してリストを作ってみようと思いました。

習慣化リストを書いても、習慣化できない、というジレンマを感じる人は少なくないと思います。
習慣化リストをいつも書いているうちに、手段と目的が逆転してしまっている場合もあるでしょう。

中途半端に終わったり、変なタスクばかり書いてあったり、人に見せることができない習慣トラッカーにこそ、自分の暮らしをよくするヒントがつまっています。

ぜひ一度、じっくり見直してみてください!

『ちいさなくふうとノート術』刊行から4年半、続編がようやく完成しました。 今回もKindleダイレクトパブリッシングでのセルフ出版です...