バレットジャーナル本のAmazonページに、「できなかったことが気になる人には不向き」というタイトルのレビューがついていて、「わかる!!!」と勝手にめちゃくちゃ共感してしまいました。
塗りつぶす快感=塗りつぶせない敗北感
□を■にする達成感を味わえる一方で、□が□のまま残り、それを次の日に持ち越すときの屈辱というか敗北感に、打ちひしがれてしまうひともいるのではないかと思います。
ブログのタイトルにもしてしまった、この「手帳に書いたものの『できなかったこと』をどうするか」という問題。
答えは簡単です。
できないことをタスクとしてデイリーログに書かなければいい。
というと、乱暴に聞こえると思うので、もう少し詳しく書いてみます。
私もこの「できなかったこと」にフォーカスしてくじけるたちなので、気になる人はぜひ読んでみてください。
習慣トラッカーが嫌い
正直に白状しますと、私は習慣トラッカーが嫌いです。
毎月作っているんですけど、記入する項目はすごく少なめです。
1か月分の日付が並んで、「できていないけどできるようになりたい項目」がずらりと並んでいるのがもうプレッシャー。
きれいに塗るのが楽しいという意見もあるけど、私は塗れたところより、塗れずに空白になっているところに目がいってしまいます。
面倒なタスクばかり並んでいると、トラッカーのページ自体を開かなくなるので、簡単なものも混ぜとくといいよ、とかいうライフハックもありますが、自分との相性はよくありません。
「歯磨き」とか、言われなくてもできることを書いておいて、どんどん塗りつぶしていくと、今度はその上下に書かれたタスクの達成率が気になります。「できたこと」は見えなくなって、「できていない」ことが浮かび上がって見え、それが自分の気持ちを暗くするのです。
苦手なものが並んでいるトラッカーを「塗りつぶしたい」という欲求だけで実行できる人はすごいと思います。
ごほうび方式が成立しない
「これを1か月続けることができたら、自分へのごほうびにアレを買う」というようなシステムが、私という人間には機能しません。
欲しいと思って、それが本当に必要であると判断したら、「おあずけ」状態に耐え切れず、入手してしまいます。
「これを続ける」と「アレを買う」の間に、明確な因果関係がないからなんですね、多分。
「この部屋のきたなさをなんとかして、ここに空間ができたら、欲しかったソファを買う」とかだったら、守れる気がします。
デイリーログの何が私を満たすのか
デイリーログには、ごちゃまぜで何でも書いていくのですが、「□」がアタマについていれば、その項目は「当日やらないといけないこと」です。
当日じゃなくていいことには「□」を書かない。
できるだけ厳選して。
今日はやれそうにないけど覚えておかないと、というようなことは、「□」でなく「・」で書くとか、ふせんに書いて移動できるようにしておくとか。
これが結構大事です。
自分のことを、ノートに書いたことはすべて実現できるスーパーマン/ウーマンだと思わないこと。
等身大の自分が今日、何ができて何ができないかを客観的に判断できるようになるのがいいのかなと思います。
この感覚は、『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか? 』という本を読んで以降、気にしています。
予定を立てるときに思い描いている自分自身は、いつもちょっと優秀なのです。
そして、実際は当然、予定ほどうまくいかず、それが許せなくて、記録の上で、なぜだかイイカッコしようとしてしまう。
一日のうち起きている時間内で、ルーティン以外にできることなんてたかが知れています。
「月曜日に市場へ出かけ~」という歌を実践するみたいな気持ちで生きると少しラクになります。
「□」を書いていたけど、実行できなかったことには、それなりの理由があったはずです。
買い物に寄るはずだったけど雨が降って寄れなかったから「□たまご」を買えなかった、とか。
勉強するはずだったけど映画見ちゃったから「□P22~25」が終わらなかった、とか。
そしたら、「・雨降った」「・映画見た、勉強できず」と書いておきます。
でも書いた後、ちょっと悔しくなるので、22ページだけやって、「■P22」って足しておきます。
「♡映画見てスッキリした!」と書いたら、ちょっといい日になりました。
デイリーログに書くタスクは、デキる自分に対してではなく、等身大、むしろあんまりできないダメな子の自分への指令。
「プラス、コレもできたらすごい!(こっちはタスクじゃない)」
みたいな感じで、やりたいことにも序列があると思うので、優先順位の濃淡を記号でわかりやすく表示しておくのもよい方法です。
バレットジャーナル本を読んでくれた友人が私の手帳をまじまじと見て、「こんなんでいいの」という素敵なコメントをくれましたが、こんなんでいいんだと思います。
習慣化したいことはどうするか
習慣トラッカーには、基本的に「場所と時間」を設定したものだけを書くようにしています。
原書読書は、今は通勤電車と寝る前と決めています。
フローリングワイパーをかけるのは、リビングは起きてすぐ。廊下と子供部屋はお風呂に入る前にばーっと。
場所と時間、そして「何をするか」がカッチリ決まっていないものは、習慣化できません。私の場合。
積み残し、先送り
先送りすることの大半は、めんどくさいからなのです。
面倒で先送りしているけれど、時間的にはそれほどかからないものは、ノートに書く前にやっちゃうのがはやいですね。
あまりに先延ばしにしすぎて、もうどうでもいいやと思えてきたものは、ここぞとばかりに削除します。
HDDにためこんだ録画番組みたいなものですね。
予約したときには見るつもりだったけど、時間がたつとどうでもよくなる。
どうでもいいことを先延ばしにしたおかげで、別の有意義なことができたということなので、ダメなことにとらえがちな先延ばしも、実は役に立っているのです。ポジティブシンキング。
めんどくさい、しかし、もういいやと思えるほどどうでもよくもない、というようなタスクは、細かく分けていきます。
めんどくさい、しかし、もういいやと思えるほどどうでもよくもない、に加え、細分化もできそうにない(細分化しようと思えばできるんだろうけどやる気が起きない)、というようなタスクは、「このタスクを放置することによって迎える最悪の結末」を思い描きます。
私の場合は因果関係をきっちり頭の中で作れると、実行しやすくなるようです。
習慣化アプリもおすすめ
ノートの見開きに書く習慣トラッカーは、全体を俯瞰できるのが最大の長所です。
月の初めから終わりまで見渡せるので、今自分がどの時点にいるのか、今自分がどのくらい達成できているのかが一瞬でわかる。
でも、月末までにやり続けなければならないことに、うんざりしてしまったり、もう月の半ばまで来てしまったのに、全然できていない自分を情けなく思ったりして、しんどくなってしまうことはないですか?
そういう時私は、アナログツールを使わずに、習慣化アプリを使います。
画面に出るのは、1週間分のデータのみ。(ひと月分を見渡す設定もありますが、基本は1週間分。)
そして大きく表示される「できた」「できない」をチェックしていくだけなので、結果にあまりフォーカスしなくて済みます。
週末にやる気と元気をチャージして、新しい週を迎えたら、そこから気分を切り替えて再スタート。
1か月分のアナログトラッカーより、リスタートがしやすいのです。
デジタルツールはちょっとイヤ、というひとは、習慣トラッカーを1週間分限定で作ってみるのもいいです。
なにかを習慣化しようとするときには、自分の性質をじっくり見極めて、自分にぴったりあったプランを考えるのが大切です。
本を読んだり、ほかの誰かがやっているやりかたをそのまま当てはめただけだと、うまくできません。
違う人間なのだから、うまくいかないのは当然。
自分がダメなわけではありません。
自分がうまくいくやり方を何度も失敗しながら見つけていくのがいちばん。
なので、デイリーログに「できなかったこと」ばかりが並んだら、自分とじっくり話し合って、「できなかったけどしなくてもいいかもしれないこと」は、もうすっぱりやらないことにしてしまう。
「できなかったけど、やっぱりどうしてもやらないといけないこと」は、自分がすぐにできそうなところまで細分化します。
細分化すると、タスクの数が一気に多くなってしまいます。
一日でやり切るのは無理そうだと思ったら、ロシア民謡「一週間」を歌いながら、一日ひとつずつ片付けていきましょう。
わたしたちは超人ではないので、一日にできることは限られています。
一年のうち数日くらいなら、夜更かししたり、早起きしたり、会社をさぼったりしてどうにか時間を作ることはできるけれど、それを常態化させてしまうと、暮らしが壊れてしまう。
「できないこと」には何か理由があるので、ときほぐして「できること」にしていくか、手放すしか方法がありません。
できない自分を責めずに、そういう作業を淡々とできてしまうのが、バレットジャーナルのよさなのかなと思います。
ネットで検索してたどり着いた情報で、余計に混乱している方、よろしければぜひ紙書籍を手に取ってみてくださいませ。
台湾での繁体字版の出版とともに、日本でのオーディオブック化も進行中です!どんな作品になるのか楽しみ。