私の好きな旅の本



平日も週末も、静かにおうちの中で過ごす毎日です。
この大変な状況ができるだけ早く落ち着くといいのですが。

去年の夏くらいから暮らしの条件が少し変わってきていて、秋にバルトの国々に行ったのを皮切りに、この春と夏にも少し長めの旅に出る予定がありました。

しかし、残念ながら、すべて白紙になってしまいました。

とてもとても残念ですが、今できることを楽しみます。
やりたいことはたくさんありますが、毎晩子供たちと、それぞれ好きな本を読んで過ごしています。

私の好きな旅の本

連休はみんなで家じゅうのお片付け。
本棚を整理したところ、読んだ覚えのない本が出てくるかわりに、持っているはずの本が見つからない。
見つからないとなると読みたくなる。検索してみてKindle版があれば、我慢できずに買ってしまいます。

本棚の片隅にできあがった「旅の本コーナー」。
kindleの中に入っている書籍も含めて、どんな本が並んでいるかご紹介します。

幾千の夜、昨日の月

角田光代さんの旅行記は、ほぼ読んでいます(SWITCHの連載のやつはまだ買ってない)。

何度も何度も読んでいます。繰り返し読みすぎて、旅の行き先がかぶっていることもあり、自分の旅の記憶と、彼女の文章を通じて追体験した旅の記憶とが、ごっちゃになっているくらい。

この『幾千の夜、昨日の月』という本は、旅のエピソードのうち、夜に限った話が集まっています。
旅の夜は、心細い。こわくてこわくてたまらないのに、なぜだかいきなり思い切った行動に出たりしてしまう。
長距離バスの汚れた窓から見えた明るい月、それを見ていた自分をしみじみ思い出す本です。

わたしのマトカ

この本のことをブログに書いたことがある気がするなあ、と、検索してみたところ、2007年に書いていました。

わたしのマトカ (幻冬舎文庫)posted with カエレバ片桐 はいり 幻冬舎 2010-02-01 Amazon楽天市場 ...

家のどこかにあるはずなのに見つからなくて、Kindle版を買いなおしました。

雨天炎天

こうして並べて見ると、私は修行のような旅が好きなんだなあと思います。
村上春樹のこの旅行記も、リゾートとかグルメとかそういう楽しいウキウキ感からはほど遠いものです。なにせタイトルが『雨天・炎天』。

『辺境・近境』も好きですが、まだあちらにはおいしいエピソードがあるけれど、こっちはおいしいもの描写はほとんどありません。そのかわり、まずいもの描写は山ほどあります。
ギリシャ編とトルコ編に分かれているのですが、トルコ編は訪れる場所場所でずっと文句ばっかり言っている。旅の終わりも、拍子抜けするくらい、ぷっつり途切れる。

村上春樹の小説は繰り返し読むほど好きではないけれど、紀行文、特にこの『雨天・炎天』はKindle版を持っていることもあり、何度も読んでしまいます。

愛しい旅がたみ

こちらは、先日KDP出版した『鞄を引いて知らない街へ』でも紹介している本です。
私は土産物を買うのがヘタなので、この本は憧れ。

アジア おいしい話

あわただしく巡る旅だと特に、なかなか体験する機会がないのが、訪れた街の人々が使う台所。
台湾の民宿に泊まって、子供がすごくよくしてもらったのが忘れられない。台所の小さなテーブルで、子供は民宿のおかあさんにもらったパッションフルーツを夢中で食べたのでした。裏の畑でとってきた野菜の泥を落とすのも手伝った。

この本では、いろんな国の台所用品が紹介されています。それを使いこなす人の生き生きした姿と共に。

平松洋子さんは、選ぶ瞬間から、道具を「使う」様子が見えている。
旅先で台所用品を見て「いいな」と思って買って持ち帰っても、だいたい一度も使わないままになってしまう私とは大違いです。

旅の断片

2年前に出た『街と山のあいだ』も好きでしたが、確かな足どりで世界を歩く今回のエッセイも素敵です。
さらりと描かれた鉛筆画も味があっていい。

ニルスのふしぎな旅

子供の頃いちばん好きだったのが『ニルスのふしぎな旅』でした。
たぶん、少年少女講談社文庫だったと思います。

今はこの、福音館古典童話シリーズの上下巻を愛読しています。
重いけど、大事にし甲斐のある本です。

子供の頃は、すっかりニルスになった気持ちで、モルテンの背中に乗って一緒に旅していたのに、大人になってから読むと、ずいぶん違う景色が見えてきます。子供の頃あんなにこわかったケブネカイセのアッカさんは、全然こわくない。すごく優しい。
かわいそうなきょうだい、オーサとマッツ。
息子を失ってしまったニルスの両親。

テレビアニメも見ていたはずなんですが、全然覚えていないのが不思議です。
本の挿絵のイメージは強く残っているのに。

霧のむこうに住みたい

紀行文だけではないのですが、須賀敦子さんのエッセイの中でいちばん好きです。
いちばんはじめにある「七年目のチーズ」は、何度も読んで、全文書き写したりもして、まるで自分もそこにいて、あのテーブルを囲んでいたのではないかと思うくらい読み込んでいる、大好きな話です。

サハラの歳月(サハラ物語)

三毛は台湾の作家です。
スペイン人の夫ホセとの、西サハラでの生活を描いた『撒哈拉的故事』は、台湾・中国で一千万部を超えるベストセラーとなりました。

中国に留学していたとき、家庭教師に来てもらっていた学生が課題として読ませてくれたのが、この本でした。
最初は難しくて読むのが大変ですが、すぐに夢中になり、すっかり気に入って、彼女の作品をすべて買い集めました。
三毛は当時すでに亡くなっていて、もう新作は読めないのがかなしかった。
中国のひとに「三毛の作品が好き」と言ったら、「あなたは雰囲気が三毛に似てる」とよく言われるのが嬉しかった。

日本語版は長く絶版となっていましたが、昨年末にまた発売されたようです。

時間をかければまだまだ見つかりそうですが、今日はここまで。

本を開けば、おうちででも旅ができる。心はいつも自由。

去年の秋に訪れたエストニア・ラトビアのことを書きました。
つい最近のはずなのに、もうずいぶん昔のことのような気がします。


鞄を引いて知らない街へ: エストニア・ラトビアの旅

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