元CIA局員だった著者によって書かれた、Survive Like a Spyという本を読んでいます。
レッド・スパロー原作者など、出版界でも活躍
元CIAといって思い浮かぶのは、スノーデンや映画『レッド・スパロー』の原作を書いたジェイソン・マシューズなどですが、この本を書いたジェイソン・ハンソンもその一人です。
1作目の本は、邦訳も出ていますね。
1作目は護身術、災害や事件など生命の危険にさらされたとき、どのようにして身を守ったらよいかを具体的な事例と共に解説されています。
著者本人による拘束から抜け出す方法の解説。
女性陣のテンションの高さが気になりますが、こういうのはやっぱり見ていて面白い。
普通のひとにスパイ幇助させるテクニック
Survive Like a Spyでも、タイトルから想像できる通り、この不安定な世の中で、万が一の事態にあった時、どのように安全を確保するかといったことがテーマとなっています。
それと同時に、普通の人が、スパイにうまいこと手なずけられて情報提供者になっていくさまがものすごく詳細に語られていて、それもとても興味深く読んでいます。
中でも、日本が舞台になったチャプター3は、「自分が知っていること」を語られていることもあり、とても興味深く読むことができます。
ソ連が作っている生物兵器に対しての諜報活動なのですが、その生物兵器のもとになるのがフグから抽出される毒。そのフグ毒を研究している日本の科学者が情報提供者としてターゲットにされるのですが、エピソードの細部がめちゃくちゃリアルで話にのめり込んでしまいました。ターゲットが「論文を英語で書くのが苦手なんですよ」とこぼして、「なんなら僕が見てあげるよ」とスルリと相手の懐のなかに入ってしまうのとか、いかにもありそうです。
中でも、ママさんがいるスナック(夜にお酒を提供し、お昼間も開店しているところもある、あのスナック)が「侵入ポイント」にぴったりだ、という解説部分は、自分がまるでその場にいて、スパイが慣れない土地の情報をさりげなく聞き出す様子を目にしているような気持ちでドキドキしながら読みました。
よそ者が街にやってきて、主人公の周囲を嗅ぎまわっていることを、あらかじめ決めていた符牒でスナックのママさんから教えてもらう、という映画みたいな状況も、「わー、頼まれたママさん、ワクワクしながら協力したんだろうなー」と想像できて楽しかったです。
あまりにリアルすぎて、これは本に書いても大丈夫なのだろうか?と心配になってくるくらいです。きっとフグ毒とかソ連とか、細かいところは事実と変えているんでしょうけれど。
アメリカアマゾンでは高評価、GoodReadsではぼちぼち
アメリカアマゾンでは、500近いレビューがついていて、トータルでは5つ星にちかい高評価を得ているのですが、GoodReadsではレビュー数、評価共にぼちぼちです。日ごろあんまり本を読まないタイプの読者に受けているのかなーという印象です。
そういうタイプの本によくあるように、英語は簡潔で読みやすいです。
各章が短く、独立したいろんなエピソードが続いているので、読みやすいところから読むこともできます。
スパイ小説や映画が好きな人は、楽しく読めると思います。まだ最後まで読み終わってないですけど、おすすめ!
Audibleでの聞き読みも楽しいです!