王小烦の《北京不孤单》を読みました。
豆瓣阅读で公開されていた《我和我的北京》という電子書籍がもとになり、紙書籍化されたものです。
棒人間に近い、そっけないイラストで、最初はちょっとおそるおそる読み始めたのですが、だんだん感情移入してしまい、一気に読んでしまいました。
北京という大都会での生きづらさ。
馬鹿にされたり、蔑まれたりしながら、仕事を探し、住む場所を探し、恋に破れ、うちのめされても、やるせなさをユーモアでかわしながら生きていく。
中国現代ドラマの登場人物たちはどんどん華やかになっていき、もしかしてみんな私よりずいぶん余裕のある暮らしをしているの?と思ってしまいますが、こんな孤独な気持ちを抱えながら日々をかつかつで生きる若者もたくさんいるんだろうなあと思うと胸が痛みます。
「孤独は自由」と主人公は淡々と語り、大粒の涙を流しても、次のページではもう、悪態をついたり値上げを迫る大家さんと対決したりしています。強い。たくましい。でも、そんな思いまでして強くならなくてもいいのに、とも思うのです。
北漂をテーマにした本というと《北京浮生记》を思い出しますが、余白の多いシンプルな絵で描かれたこの本は、小説とはまた違う読後感がありました。切ない。