ノートにペン先を落とす前のワンクッション



フォロワーさんの、「バレットジャーナルに箇条書きをする前に書きなぐるスペースと時間を設けた」というツイートに、思わず賛同の返信をしてしまいました。

私も、タスクのブレイクダウンをするときは、ほぼ毎回、ふせんにいったん書きなぐってから、それを整理したものをノートに書きつけます。

サンプルページから生まれる幻想

昨今では、きれいに書かれた手帳の中身が、画像だけでなく動画でもシェアされています。

時には早回しで、ひとつのミスもなくペン先を落とす前のためらいもなく書かれていく様子に、手帳への記録はこういうものだと思ってしまうかもしれません。が、いえいえ、少なくとも私はそんなことはありません。

私はカリグラフィーや書写の動画を見るのが好きなのですが、あの素晴らしい数十秒の動画の背後には、何十回というリテイクがあるのだろうと想像します。積み重ねた練習があってこその、美しい動画と作品。

手帳もそれと一緒で、スムーズに書ける、あるいは、見返したときに必要な記録が揃っているように書けるには、積み重ねと試行錯誤が必要なんだろうと感じます。

線を引いたり色を塗ったりして毎月・毎週のページを作っているアーティスティックな手帳ユーザーのみなさんも、何度も何度も繰り返すことで自分がしっくりくるかたちを探し、その最終形が私たちの目の見えるところに置かれているのでしょう。

うまく書けない

バレットジャーナルが向いていない、と言う人の傾向として、「ネットで見ているお手本のように書けない」と思われていることが多いように思います。しかし実際には、何年運用していても、いつまでたっても、「うまく書けていない」感じはつきまといます。

うまく書けていない、というのは、ごちゃごちゃと絡まった複数のタスクをときほぐせていない、とか、リストが狙い通りの目的を果たしていない、とか、書きつけた感情の記録が本来の気持ちとはかけ離れているように感じる、そういう状態です。

きれいに書けていない、というのではなく、うまく書けていない。
こまめに記録しているつもりなのに、見返したときに、必要なことが書けていない気がすることはよくあります。

後から見返したときに内容がスッと頭に入ってくるシステマティックなページを書けるようになるには、何度も同じ記録を取って慣れることが必要だと、長年運用してきた今でもしょっちゅう感じます。

フリーライティング

10分程度の時間を設定し、思いつくままに書き出す「フリーライティング」というメソッド。

「モーニングページ」もそのひとつだと思います。『ずっとやりたかったことを、やりなさい』という書籍の中で紹介されていて、実践していらっしゃる方をSNSでよくお見掛けします。

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考えず、とにかく書いていく。きれいに書くことも、筋道立てて書くことも、「こんなことを書くなんてよくない」という自分の心のジャッジも全部脇に置いて、頭の中に浮かんだことを文字にしていきます。

「記録し、振り返るためのバレットジャーナル」のページ上で、この作業をするのはとても難しいです。
過去のページをめくるたびに、このカオスなページを目にしたくないということもありますし、ケチな私の場合、ロイヒトトゥルムの1ページあたりの値段を考えるともったいないと感じてペンが進まなくなります。

というわけで、コピー用紙の裏紙でもいいし、ルーズリーフでも、使いかけで放置しているノートの残りページでも構いません。

一度、フリーライティングを試してみてください。
「きれいに書こう」という前提では出てこないモノがあるんだなということが体感できます。

そしてこれを体感すると、箇条書きのバレットジャーナルではできない・やりづらいことがあるんだなということがわかります。

マインドマップ的につなぐ、書きこむ

頭の中のものを出してみる、という作業では、制約がないほうがスムーズです。
罫線とか字のサイズなどを気にせずにすむ環境が最適です。

自分で知らずにかけている制限を外すという意味でも、書き始めを左上から始めないようにしています。
私はA5サイズの用紙(A4を二つ折り)にして、左下から書き始めます。

マインドマップのように、真ん中にテーマを書いてしまうと私の場合「きちんと書かなければならない」と妙に緊張してしまうので、あえて左下とか右上など、変なところから始めています。

線でつなぐ、というのは思ったよりも効果的なので、書きなぐるだけでなく、線でつないだり同じ色の丸で囲んだりもおすすめです。
フリーライティングでは、あえてバレットジャーナルで常用している「箇条書き」を使わないようにしています。

ネガティブ要素のアウトプット

いつまでも胸に残るモヤモヤとした悩み。
思い切って紙に書き出し言語化することで、それまでは思い浮かばなかった打開策がひらめくこともあります。
ネガティブな気持ちこそ、いったん外に出して、客観的に見る機会をもつとよいです。

書き散らした結果に出てきたエッセンスみたいなものだけをノートに保存し、無心になって吐き出した言葉の記録が乗った紙は処分するようにしています。

手帳以外では、メールアプリを使うこともあります。
宛名の入っていないメールに、困っていることや悩んでいることを誰かに訴えるように入力してみる、という方法です。

仮の相手を設定して(書くときには本気でその人に送るつもりで)、ひたすらに自分の気持ちを書き出していくと、実際にその訴えを誰かに送ることがなくても、言語化するだけで問題のいくつかが解決されていることもあります。

ネガティブ記録をどうするか

私自身が視覚優位タイプであるせいか、言語化され文字として書きつけられたものを一瞬でも見てしまうと、そのときの気持ちがぶわーっとよみがえってしまい、心に負担がかかります。そのことに気づいてからは、胸の内を吐き出したなまなましい記録は残さないようにしました。

言語化することは問題の根本を探すのにとても良い方法ですが、その一方で、言語化されてしまうと固定化されてしまい、いつまでも頭の中に居座ってしまうというデメリットもあります。記録として残す塩梅、自分にとってちょうどよいポイントを探すことも必要だと感じます。

記録に残したい項目リスト

日々の記録が習慣化されると、マンネリ化も同時発生します。
書きやすいことを書き残して、ページは埋まっているのに、見返したときに心がスカスカしてしまうような状態になったとき、私は以前に書いたことのある「手帳に残したいことリスト」を見返します。必要だと感じたら、リストをアップデートしてもいいと思います。

思考の流れを止めない

やることを細分化したいな、と思ってすぐ、直接ページに向かうと、「うまく順序だてて並べられるかな」と自信がなくなり、ペンが止まります。

あるいは、スーパーに行く前の買い物リスト。どこまでリストが伸びるかわからないので、字を小さく、字間を詰めて書いてしまう。

書きづらくてペンが止まってしまうときは、ノートに直接書きこまず、いったん大きめのふせんに書くようにしています。

『ときほぐす手帳』にも書いたような、自分の思考のクセを探して解決の糸口をつかむヒントを得るワークの際にも、手帳のページに直接書くのではなく、大きめふせんをペタっと貼ってそこに書いていきます。

ペンで紙の上に書くというのは、結構緊張するものですよね。
書くことについて自分の中でリミッターがはたらいているなと感じたら、できるだけそれをとりのぞいてあげるのが、手帳とうまく付き合う秘訣ではないかと感じます。