2021年の手帳とわたし



新しい年が始まりました。

今朝ようやく、1月のマンスリーログを作り、今年初めてのデイリーログを書きました。

手帳から離れてみた

12月後半から、ずっとバレットジャーナルを書いていませんでした。

あえて開きませんでした。

今朝、久しぶりにバレットジャーナルを開いて、記録が途切れた最後のページをめくり、新しいページに書き込みながら「ああ、手帳なんてなくても、日々は回っていくし、楽しく暮らせるな」としみじみ感じました。

カレンダーアプリには、あらかじめルーティンタスクや予定が入っているので、日常はとどこおりなく回ります。(そもそもこの時点で、ふつうの生活・時間管理としてはじゅうぶんの気がする!)

仕事の進捗管理や買うものリストは、普段はバレットジャーナルですが、ノートを開かない間は、デジタルツールやふせんを使う。

普通の生活にはこれでじゅうぶんなのに、手帳とかタスク管理とかの情報に踊らされて、自分のキャパを超えて、自己管理ツールを使おうとしていたんだなということがわかりました。

週の振り返りとか、未来の自分への細かい申し送り的なこととか…、
役に立つこともあるのだろうけど、いろいろ、もういいや、と思いました。
時には必要だろうけど、ずーっとやり続ける必要はないな、と。

ミールログとか、日々のささやかなものごとの記録についても、自分が楽しかったり、必要不可欠ならいいけれど、上司から言われてわけもわからず書かされているような業務日誌になっているのなら、やめちゃえやめちゃえ、と、いったん中断しました。

未来の自分はいまの私の管理者じゃないよ。

しんどかった2020年

しばらくノートを開かないでおこう、と決めたのは、去年一年がわたしにとってとてもしんどかったから。

コロナの影響も少なからずありました。
手帳で自分をコントロールすることでなんとかなると思ってふんばっていたら、ある日突然限界がきて。

そういうこともあり、新しい手帳の本をKDPで出すつもりでしたが、出せませんでした。

その本には、手帳でできることのサンプルをたくさん載せるつもりでした。
手帳でできることは無限にあります、それは確かなのですが、今の私にそれは書けなくなってしまった。
「私にはできる」と信じてふんばることが、結局自分を損なっていったから。

一冊目の本より、もっと有意義な情報や手帳メソッドをたくさん載せなきゃ、みたいな気持ちもそれに拍車をかけたのかもしれません。

逆算手帳

夏の終わりだったか、逆算手帳の開発者の方が消息不明という知らせを聞いて、とてもショックを受けました。

以前に書いたことがあるかもしれませんが、私は20代の頃に人生のままならさを痛感することをいくつか経験したため、「逆算」の考え方が苦手です。

どれだけ綿密な計画を立て、どれだけ努力をしても、自分ではどうすることもできない外側の要因で、あっさり道は閉ざされ、あきらめなければならないことはある。そういったことを一度ならず経験してしまうと、学習性無力感というのか、どれだけがんばってもダメなときはダメ、というあきらめの気持ちが胸の中心に居座ってしまいます。

だから、そのあきらめの気持ちと共存しつつ、どうにか前に進むために、私は私なりのやりかたでやってきました。
自分の努力だけではどうにもならないことが絶対的に存在する、という諦念のおかげで、つねにプランBを意識できている。

でも、逆算して、一本の道をまっすぐ迷うことなく進んで、できるだけ早くゴールに着くって、理想のかたちなんですよね。

今からでもまたそういう進み方ができるんじゃないか、と思いながら、新しい本を書いていました。

そんなところに逆算手帳の一件を聞き、成功へのメソッドをたくさんの人にシェアする人にも思いもかけないこと・自分にはどうにもならないことが起こってしまうのだ、と若い時に自分が味わった、あの人生のままならさ・苦さに再びとらわれることになりました。

コボリさんに何が起こったのか知る由もありません。
実際には、一読者でしかない私がこんなふうにショックを受けるようなおおごとではないのかもしれない。

とはいえ、この一件は、手帳のよさについてシェアする側にいる(とみなされている)者として、手帳と生き方について、深く考える契機となりました。

彼女が今おられるところから動き出すために、手帳がふたたび力を貸してくれることもあるでしょう。

もがいていたところから抜け出しつつある私、そういう私にしか示せないものがあるといいなと思いながら、今日のブログを書いています。

記録に束縛される

去年は年の初めころから、これまであまり注目してこなかった、インスタグラムの手帳ジャンルで人気のある投稿をチェックしていました。

で、自分も同じようなことを試してみたりして。まあ、全然上手にはできなかったんですけど。きれいな動画や情報のつまった画像をつくることがいかに手間のかかることかを実感できました。あれやってるだけで、ほんとにやりたいことのための時間が削られます。
ほんとにやりたいことがインフルエンサーになることなら、それでいいんです。あるいはその真反対、それ自体が誰にも評価されなくても楽しく続けられる趣味であるならば。

今考えると、これもメンタルのバランスをくずした一因じゃないかと思っています。
ツイッターのタグを追いかけているのと違って、インスタグラムの人気アカウントって、すごく優等生に見えるんですよね。

毎日手帳に記録を書き留めているし、生活の知恵をたくさん持っていて、部屋はきれいで、私のめったに行かないようなおしゃれなカフェで手帳タイムを取って、英語の勉強をしてて、手間のかかっていそうな文字入り画像や動画をインスタに上げて、たくさんフォロワーがいて。

情報を提供する立場の目線からずっと見ていると、彼女たちの苦労も透けて見えてきます。
いつも新鮮な情報を出すためにあれこれアイテムに手を出さなければいけないし、結局どこかの誰かのコンテンツをきれいにリフォームした受け売りの投稿ばかりしている人もいるし、最初は好きでやっていたこともインスタの影響力が大きくなるにしたがってノルマや作業になってしまうし。

とらわれてしまって、自分の人生を生きられなくなってしまうというか。

手帳の中に記録される自分、投稿から見える自分のほうが、自分本体より楽しそうな状態が続くと、たぶん人は損なわれてしまう。

書いて見える化することでとらわれる

ツイッターで追いかけている手帳の人たちは「自分のための手帳」という感じがすごくするので、すごく気楽です。

そのぶん、こんなふうに丁寧に大量の情報を記録できない自分、思いついては始めてすぐにやめてしまう自分を責めてしまうほうに流れていきます。

記録し続けること、記録を有効活用しなければいけないという強迫観念、何かを成し遂げなくてはいけない、いつも目標を持ってそれを目指さなければいけない、という、ある種の呪い。

バレットジャーナルを始めたときは、「忘れっぽい自分をなんとかしたい」というそれだけで、そんな高尚な理想なんて掲げていなかったのに、気づかないうちに自分をコントロールすることにとらわれてしまい、結局大きくすっ転んでしまいました。

見つめすぎるとバランスがくずれる

こうなりたい、こうありたい、という観念を、書き出して目に見えるようにすることが役に立つときもあります。

でも、今回いったん手帳から離れてみて思ったのは、自分の内側を見つめすぎると、それまで無意識で自然にうまくいっていたものごとのバランスが大きく崩れることもあるということ。

この『新インナーゲーム』で書かれている内容についてのツイートを見て、ああ、私に起きたこともこういうことだったのかな、と思いました。


 

心の深いところに分け入って行って、自分の中の潜在意識があえて沈めていることを光の下にさらけ出すようなことは、ときには有効かもしれないけれど、いつもいつもする必要はないです。
手帳のメソッドって、「気づき」とか「意味づけ」とかを強要するよね?
まあでもそれらのほとんどは、気のせいかもしれないよ?
気のせいなのに理屈づけして、因果関係を探し出して、それでいいことばかりならいいけれど、いいことが起こるなら、同じくらい逆のことが起こるはず。

頭で考えすぎずに。
からだに任せて。自然のリズムに合わせて。

やりたいことを無理やりしぼりだすタイプのウィッシュリストは、私には向いていませんでした。
やりたいことを思いついたから、ひとつふたつちょっと書きとめとこう、くらいがちょうどいい。
その日食べたい!と思ったものを即興で作って食べるような生き方が、私にはあっている。

人生において、「こうやればかならずうまくいく」という絶対の正解なんてないってわかっているのに、気が付くと無意識に探して頼ろうとしてしまう。

よりよい情報を見つけようとして、たくさんの「これをやればうまくいく」に触れているうちに、転がる雪玉みたいにどんどんふくらんで、内側の自分が見えなくなっていたなと思います。

記録や情報についても、機会があるごとにデトックスする必要があるのかなと感じました。

そうはいってもやはり頼りになるBuJo

とはいえ、やっぱりBuJoは私の暮らしにすっかりなじんでいて、新しい日付を書いて、思いを巡らしていると、忘れていたタスクのあれこれを思い出し、その日のうちに実行することができました。

今年もままならないことに翻弄されることの多い一年になりそうですが、自分のリズムを大切にして、人と比べず、穏やかに過ごしていけるといいなと思っています。

ムーミンキャラたちはほんといいこと言う。

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