読了しました。このブログを読んでくださっている方ならきっとご存知の、泉京鹿さん翻訳の新刊です。
悲しみは逆流して河になる
郭敬明著・泉京鹿訳
郭敬明といえば、
AERAの表紙に登場したのが記憶に新しいです。
彼の作品は、若い子の読む、ライトノベルという印象が強く、これまで積極的に手を伸ばしたことがなかったのですが、今回邦訳が出たのをきっかけに読んでみました。
読み始めると、止まらなくなり、夜更けに読了。
十代の頃の、閉塞感をまざまざと思い出しました…。
みんな行き場のない思いを抱えて、救いを求めていろんなものに手を伸ばしてたんだな…ある人は恋愛だったり、ある人は勉強だったり…、私は何に逃げてたんだろう。高校時代はあんまり本は読んでなかったなあ。レンタルビデオ屋さんに入り浸ってたから、映画に逃げてたのかな。いや5歳年上の人に片想いし続けてたな…。
…などなど。
しばし心だけタイムスリップした後、忙しくはありますが大人であることの気楽さを有り難いものに感じたのでした。
テイストは「リリイ・シュシュのすべて」に似ているような気がしました。
中国の若い子は岩井俊二が好きですもんねー。
あとは銀色夏生の詩、切れ切れで、アンニュイで。
添えられた写真。霧のかかった。あるいは、強い日差しと、作る影の暗さ。
(↑こういう感じなんですよね、全体的に。影響を受けてます)
後半の急展開は、「うーんどうなんだろう?」と思わなくもないのですが、中国や韓国のドラマってどれもこんな感じで最後の最後で「えーーーーっ」て展開になりますよね。こういうのが好みなのかも。
こういう青春小説は、高校のときより小学校や中学のときによく読んでいた記憶があります。X文庫の花井愛子(と打った後でWiki見たらちょっとびっくりした)とか、氷室冴子をはじめとするコバルト文庫の面々…
友達と貸し借りしあって、読みふけったのが懐かしいです。
現在の文学界にも、たくさんラノベ出身の作家さんたちが活躍していらっしゃいますね。
(名前を挙げようかと思いましたがWikiの「ライトノベル作家の一般文芸への越境」にまとめられていました)
そう考えると、80後が成熟期を迎える中国文学の10年後20年後がどうなるのか、とても楽しみです。
こうして、新しい中国文学をどんどん日本に紹介してくださる泉京鹿さんの熱意・バイタリティを本当に尊敬します!
コメント
『花井愛子(と打った後でWiki見たらちょっとびっくりした)』って書いてるから気になって僕も調べてみました。ほんとにびっくりです。彼女の人生そのものが小説みたいですね。ひょっとしたら皆さんそうなのかも。僕もまた。
>Samさん
ほんとうにびっくりしましたね。こんなわかりやすい形ではなくても、相続問題は意外なところから意外な形で転がり込んでくるようなので、よく勉強しておかなければと思いました。
小説のような人生、誰もがたったひとつの(あるいは他者のドラマの端役として複数の)物語を生きているんでしょうね。
Marieさん
こんにちは!「国産トライリンガル」でお世話になったmei_mokhです。自分のブログがなくなったので、ここ数日他の方のブログをちょこちょこ見ているうちに、Marieさんのブログにどっぷりはまってしまいました。私も「もう少しきちんとした勉強もやっていこう!」と思いました。ブログの様々な機能を使いこなされているのもステキです~(自分が全然ダメなので)。
今回のMarieさんの記事を読んでから、郭敬明の作品にどんなものがあるのか調べてみて、いくつか気になるのがありました。自分の中のWishListに加えておきます:))
では、またあそびにきま~す。
>mei_mokhさん
ようこそ~!コメントいただいて感激です。
バッドエンディングがあまり好きでないので、登場人物ばたばた死んじゃう郭敬明など80後の作品は避けて通ってたのですが、すばらしい訳で読むのは原書を読む以上に勉強になるし、わくわくしますねー。
最近読んで一番感動したのが、児童書の「雨街的猫」王一梅 です。機会があればぜひ読んでみてください!