新しいテレビも来たことだし、ばばばと溜まっていた映画を鑑賞。
『高興』田原・苗圃
これは以前一回見ていたのを、細部確認のため再鑑賞。感想をブログにアップしていたかと思ったらしていませんでした。
賈平凹の原作は、出だしから悲壮感にあふれていて、読むのもなかなか進まなかったのですが、映画の方は設定は同じですがストーリーは全く別物。最初から最後まで笑えて、登場人物の誰もが魅力的で可笑しくって。ただ、シモネタ満載でお食事中はどうかしら、という場面もたくさんあるので、あまり何度も見たいという気にはならないかな…。
按摩小姐役の田原が可愛くって色っぽくって、彼女のいるところだけ画面が輝いている。
苗圃は、「さくらんぼ 母の愛」のお母さんとはとても思えないはじけっぷり。松野明美に見えてくる…。
『証人』林超賢監督・謝霆鋒他主演
前評判は聞いていたけれど、うーん、すごい!銃と血がたくさん出る映画は苦手ですが、ストーリーの深みとニコラスの演技力に拍手喝采。このところ、エンディングに種明かし、というか謎解きが準備されている構成の映画が多いようなのは気のせいかしら。
『神鎗手』林超賢監督・黄曉明・任賢齊・陳冠希主演
同じダンテ・ラム監督だし、男前は出ているしで、期待して観たらかなりがっかり。こちらは人物造形が全然できてなくて、誰にも共感できない。つまらない意地の張り合いでバタバタ関係ない人が死んでいくし、警察の狙撃隊が軍隊みたく肩に刺青?海辺で半裸で訓練?誤射で4年も刑務所?など、つっこみどころも満載。興味のわくエピソードをたくさん挿入しているけれどどれも中途半端、数を絞ってもっと描き込めばよかったのに、などと、ぶつぶつ文句を言いながら鑑賞しました。
『B型の彼氏』
中国版で、韓国語音声・韓国語字幕つきのものがあったので買ってみました。
ちょっとだけ観てみましたが、おもしろそうです。『猟奇的な彼女』『新入社員(ドラマ)』も買いました。
そして読書。
エ/ン/ジ/ン 中島 京子
失われた記憶、あるいは人をわずかな手がかりをたぐりよせながらとりもどそうとする、「ツアー1989」のあのもやもやとした感じが好きな人なら、この作品もOKでしょう。自分が生まれる前、両親が青春時代を送っていたその時間を、あまりの手ごたえのなさにもどかしさを覚えつつ、著者の紡ぐ独特な世界を存分に満喫しました。
幸田文しつけ帖 幸田 文
最初は通勤電車の中で読んでいましたが、にやにや笑いが止まらず、変な人に思われてはいけないので家で読むことにしました。寝る前の布団の中で、もったいないので少しずつ読んでいます。「台所のおと」をはじめ、幸田文の本は大抵読んでいるけれど、こんなにくすくす笑ってしまったのははじめての気がします。怒ったり哀しんだり、娘時代の著者の喜怒哀楽がとてもリアルに胸に届きます。完璧ではない自分自身の若い頃と距離を置いて、客観的にユーモアを交えて語る口調が、なんともいえずよくて、笑いながら切なくなって泣いてしまいそう。
露伴が娘に言って聞かせる言葉がいちいち深くて、いいなあ、私もくだらないことでがみがみ言ってないで、こんなふうに何十年たった後でも子供がしみじみ思いだしてくれる含蓄のあるメッセージを届けることができたらいいなあ、と反省。
上の2冊、偶然にもどちらとも吉田 篤弘 /クラフト・エヴィング商會の装丁でした。