ゴールデンウィークの長期休暇は、ソウルを経由してバンクーバー・ニューヨーク・トロントと回ってきました。
ニューヨークのブロードウェイでもミュージカルを観に行きたかったのですが、ミュージカルを観る時間が惜しいほどにニューヨークでやりたいことが多すぎたのと、そもそもお目当ての作品のよい席が事前に取れそうになかったのと(それからもうひとつ、時差に体が慣れない状態では居眠りしそうだったのと)で、断念。
そのかわり、NY、ロンドンに次ぐミュージカル世界3大都市の1つといわれるトロントで2作品観劇することにしました。
Moulin Rouge! The Musical
ジョン・ローガン脚本のジュークボックス・ミュージカル。
2001年のニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー主演映画をもとにしてつくられた作品です。
今回のトロント公演は北米ツアー。
公演終了間近で予約した時点ですでによい席は軒並み売り切れ。なんとかバルコニー席をゲットしました。
劇場はCAA Ed Mirvish Theatre。

舞台装置がすごい。

ホワイエ。

貧しい作家クリスチャンとスター歌手サティーンの悲しい恋の物語です。
直前に予習として娘と一緒に映画も久しぶりに観ました。
昔はあの揺れる画面とノリについていけなくて、そこまでいい映画とも思わなかったのですが、久しぶりに観てみると、サティーンを演じるニコール・キッドマンのうつくしさと儚さにメロメロになってしまいました。
悲劇のヒロインなんだけど、前半のドタバタ喜劇はとてもチャーミングで、いっときも目が離せません。
しかしこちらのサティーンは、悲劇のヒロインなのに、終盤までガンガン踊りまくり歌いまくる。「あれ、この人もうじき死ぬんじゃなかったっけ?」と、見ているこちらが心配になってくるくらい元気です。
舞台のムーランルージュは、サティーンの儚さよりも、彼女の全盛期の華やかさを楽しむ作品となっています。
エルトン・ジョンやレディー・ガガ、ケイティ・ペリーなど、ヒットソングが次々と歌われる、ジュークボックス・ミュージカルなので、知っている曲がたくさん出てきて楽しいのもよかった。
2時間半があっという間でした。
見終わったあと、娘と「とても豪華なショーだったけど、サティーンも素敵だったけど…、ちょっと説得力がなくなるくらい死にそうになかったね…元気そうでよかった…」と感想を述べあったのでした。
& Juliet
そしてもう一日は、& Julietを観に、Royal Alexandra Theatreへ。
Royal Alexandra Theatreは、100年以上現役で使われている歴史のある劇場です。
この古き良き劇場を堪能したくて、かなり早くから会場入りしました。

まだ人のいないホワイエ。


こわいくらい急な傾斜のバルコニー。

今回は最前列。近すぎて見切れるのでチケットの値段は少し安い。

『アンドジュリエット』は、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を「もしジュリエットが死ななかったら?」という設定で再構築したポップ・ミュージカルです。
こちらもいわゆるジュークボックス・ミュージカルで、次々とヒット曲が歌われますが、すべてがマックス・マーティンによる作曲というのがすごいのです。バックストリートボーイズからブリトニー・スピアーズ、ケイティ・ペリーと、超豪華な約30年間のヒットソングの詰め合わせ。
ボン・ジョヴィのIt’s My Lifeが流れたときは、脳内でなかやまきんに君が「ヤー!」ていうのを黙らせるのが大変でした。
曲ももちろん、ストーリーも大変よかった。
念のために物語の流れは予習して行ったのですが、あらすじを読むのと実際にミュージカルを観るのとでは、受け取るものが全然違いました。
たった3日間の純愛のために命を落とすジュリエット。しかもロミオは死なない。このストーリーに納得がいかず、作者のシェイクスピアに異論を唱えるのは彼の妻、アン・ハサウェイです。夫の持つ羽根ペンを取り、議論をしつつ、彼女が求める物語を綴っていきます。
観る人によって、また同じ人でも観るたびに感情移入をする登場人物が変わってくるのでしょうが、その日の私は、「これは妻アン・ハサウェイの物語だ」と思って鑑賞していました。
ロミオの葬儀では、ロミオの元恋人(男女問わず)がたくさん駆けつけ、ジュリエットがドン引きするところとか、出会って数日で結婚して未亡人になってしまった自分へのセルフツッコミとか、笑えるシーンがたくさんあります。
最前列に座れたおかげか、台詞をかなりクリアに聞き取ることができました。
ちょうど『プラダを着た悪魔2』の公開で街が盛り上がっているこの時期に、アン・ハサウェイつながりネタで客席が湧いたのにも、遅れを取らずに笑えて大満足です。
いちばん前の席は、群舞の全景が見えなかったり、セリから現れキーボード?を弾き語るロミオの股間しか見えないとか、デメリットもありましたが、役者さんたちのまばたきや腕の筋肉の動きまではっきり見える場所からの鑑賞は何物にも代えがたいものでした。よかった。
この作品では、女性の自立についてだけでなく、LGBTQ+の要素も大きな部分を占めています。
中心にあるのはシェイクスピア作品だけれども、女性は誰のために、何のために生きるのか・結婚はゴールなのか・恋愛の形はひとつなのか、といった現代的なテーマがもりだくさんです。
行きの飛行機でマギー・オファーレル原作の映画『ハムネット』も観たので、シェイクスピアとアン・ハサウェイづいている旅になりました。



