最近買った本(オススメ!)

翻訳必携
「日中中日翻訳必携」

 「コッテリ中華の中国語と、お茶漬けさらさらの日本語」をキーワードに、著者の四十年にわたる通訳・翻訳歴と講座主宰及び大学での教授の経験をまとめた労作。
 項目ごとに豊富な例文をあげて丁寧に解説しており、特に「中国語の長文を理解する手がかり」「品詞ごとの具体的処理法」「良い訳文と良くない訳文の対比」は、ユニークですぐ役立つと、受講者の好評を博したもの。
 翻訳の基準とされる「信、達、雅」の実例は、説得力に富む。
 著者の学習体験は、翻訳を志す者だけでなく、中国語を学んでいる人にもたくさんのヒントを与えてくれる。
 付録は、中国語の新語・外来語・独特の用語の解説、日中双方の固有名詞の表記法など。
 コラムは、「日中」と「中日」どちらが先か、数字のあつかい、要注意の女性ことば、辞書の勧め、など十項目。
 「翻訳は、おもしろい。翻訳は、おそろしい。翻訳は、奥が深い」(あとがき)という著者の述懐が納得でき、翻訳という作業への興味をかきたててくれる。日中の言葉の位相を語りながら、両国に通底する文化の香りがただよう。

東方書店の「翻訳篇」でお世話になって以来、著書を見かけたらできるだけ目を通すようにしていましたが、そのお陰でこの本に出会えました。語学というのは底なしで、時折そのキリのなさに虚しさを感じることもありますが、それでもやっぱり、学び続けるのは楽しいからなんだよなあ、としみじみ思いました。

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