The Midnight Library、読了しました。
生と死のはざまにある真夜中の図書館
「自殺未遂から、ある種の異世界へ」というテーマを最初から知っていたら、おそらく読まなかったであろうタイプの本です。
「異世界に行ったことで、今自分がいる場所のよさを再確認する」系の話は、異世界へ続くドアなどない現実世界の厳しさをより強く感じてしまうので、あまり好きではないのですが、せっかくなので最後まで読んでみることにしました。
人生を終わらせるためにオーバードーズした35歳のノーラが迷い込んだのは、生と死のはざまにある、「私」のためだけの本が詰まった、真夜中の図書館。
本を通じて、ノーラは自分が選んでいたかもしれない別の人生を体験することができます。世界的なミュージックスター、オリンピック金メダリスト、別れた彼との結婚生活。
どんな人生に「試乗」しても、完璧な人生はないし、完璧な人生を見つけたとしても、それは本当の意味でノーラ自身の人生ではない。きっとノーラはどこかで悟りを開き、もとの人生に戻っていくのだろうなと、予想しながら読んでいく物語です。
予想できているゴールに、どんなふうにたどりつくのか見守りながら読むタイプの物語。
そのため、ちょっと途中で飽きてしまいそうになったのですが、よい結末で、読んでよかったと思える本でした。
ノーラの年齢設定が35歳というのが、絶妙だなと思います。
自分が選んだ今と、選ばなかったものの先にあったはずの自分の人生について、考える機会が多い頃です。
自死を選ぶことには共感できなくても、「あのときああしていればよかった」という後悔を抱えている状態の苦しさに共感できる人は多いと思います。ノーラのおかげで、私自身の胸に詰まっていた後悔が少し軽くなった気がします。
いろんな可能性が閉ざされていくように感じ、つらくなることもありますが、いくつになっても可能性の扉はそこにある、私に開かれる準備ができている、と信じて生きていきたいなと思える本でした。
早い!中国語繁体字版、もう出てます。
日本語版も2022/2/9に発売。