記憶喪失の男前をめぐるミステリー I Found You 読了



4月に読み始めたものの、新年度は他に優先すべきことが多く、泣く泣く中断しておりましたが、とうとう我慢できずに5月の週末に残りを一気読みしました。

記憶喪失のイケメンをめぐるサスペンス

イギリスの海辺の町に暮らす、シングルマザーのAliceは、ある雨の日、家から見える浜辺で座り込む、濡れねずみの男の人を見つけます。友人や子供たちはみんな反対しますが、どうにも放っておけず、記憶をすべて失っている彼を家に入れたAlice。

ところかわって、ロンドン郊外に住む21歳のLily。結婚して間もない夫が突然行方不明になってしまい、警察に事情を話しに行きますが、ウクライナから来たばかり、身寄りもなく英語も流暢ではない、若い彼女に周囲は冷たい。しかも、警察の調べにより、消えた夫のパスポートはニセモノということが判明します。夫はなぜ、どこへ消えたのか。

過去と現在が交錯する

そしてまた場面は変わって、23年前の1993年、GrayとKirstyの兄妹は両親とともに海辺の町で夏休みを過ごしています。15歳のKirstyに近づいてきた男前Mark(19歳)に兄のGrayは不信感を抱きます。

Grayの妹に対する感情がどうもつかみきれず、そのあたりがフックとなりつつ、ストーリーが展開していきます。

「あれっ?」と読者に思わせるポイントが随所にちりばめられ、振り回される楽しさを味わいながら読めるミステリーです。
ストーリー的には、そこまで驚きはないのですが、AliceとLily、二人の女性の突拍子もない感じが斬新でした。欠点もあるけど憎めない彼女たちのキャラに現実味がありました。

ミステリーのエンディングというのは、さんざん謎解き、犯人捜しで引っ張ったわりに、あっけなく終わって肩すかしをくらった気分になるものも多いのですが、この作品の結末は、余韻があってよかったです。

この本の著者のほかの作品を読みたくなって、アマゾンで見てみたらたくさん出ていてびっくりしました。
日本では2004年に1冊邦訳が出ていて、アマゾンのページにはレビューもついているのですが、その後の作品は訳書が出ていないようでもったいない。

英語も読みやすく、40%過ぎた頃から次が気になって気になってたまらなくなり、読むスピードも大幅アップすること間違いなしです。

AliceとLilyのパート、それから1993年の章が入れ替わりながら進んでいくので、最初は登場人物や状況を把握するのが大変でした。最初のうちはこんな感じで、あらすじメモを作りながら読むのがおすすめです。

I Found You 洋書

次に読む本

さて、次に読みたいのは、大好きなスパイもののノンフィクション。

みんなと違う本ばかりチョイスしていますが、おもしろい本と出会えるととてもうれしい。

メジャーどころでは、邦訳も出たイアン・マキューアンの本も読みたい。日本語で読もうか英語で読もうか悩み中です。

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