私自身が結構あけすけな両親に育てられたせいもあり、うちの子供もそのような環境ですくすく成長しております。
小さいころからいろんなことを、できるだけ事実に即したかたちで話すよう気をつけてきました。
定期的に不審者情報メールが学校や警察から届くこのご時世、子供も身を守るすべを知らなくてはなりません。
Self-defense、護身術、というと、女の人が大きな体格の男の人をエイヤーと投げ飛ばしているようなイメージを想像してしまいますが、そうではなく、本来の護身とは、自分が危険な状況に身を置くことからできるかぎり遠ざかる方法、危険を察知して早めに逃げることができる感覚を持てることだと思います。
その点でこの本は、とてもすばらしいです。「とにかく危険なニオイがするところから離れる」「攻撃とみなされるような過度の防衛はしない」
「不審者は不審な格好をしているとは限らない」というのは子供ともよく話し合う内容です。かといって知らない人すべてを悪者扱いするのもおかしなことです。車から話しかけられたら絶対に近寄らず無視してもよい。歩いていて話しかけられ(そもそも大人がわざわざ小学生を呼び止めて何かを尋ねる必然性がある状況はあまりない)「なにかちょっとでもおかしいなと思ったら、『アッ○○ちゃんのおかあさーん、おばさーーん』とか(誰もいなくても)大きな声を出して違う方に走って行きなさい」などと話しています。
「隣人や上司など知っている人が不快な接触をしてきた場合の角の立たない逃げ方」というのは意外な自衛術でした。
大きな危険からの護身よりもむしろ、日常的にある小さな不快な動作に対して、相手に悟られないよううまく体を躱せる方法の方が、身に着けていて損はなさそうです。
映画のヒロインのように、ガタイのいい男の人に襲いかかられたところを股間を蹴飛ばして逃げるとか、つかまれた腕を振り切って逃げるとか、そういう自衛術よりも前の、小さな危機に対応できるいろんな方法がやさしい言葉で書かれていて、とても好感のもてる本です。