教える方も勉強しなくちゃ



初級日本語文法と教え方のポイント
初級日本語文法と教え方のポイント
初級を教える人のための日本語文法ハンドブック
初級を教える人のための日本語文法ハンドブック
私が日本語指導にかかわり始めた頃(10年前くらい)には、親しみやすい指導教授書というのがなかなかなかったんですが、最近はいい本がどんどん出ています。教える側学ぶ側双方にとって喜ばしいことです。
この種の本は、文法解説に偏ったり、あるいは授業の進め方(使用教材の使用法、作成法)ばかりになったり、バランスの取れたものがなかなかないので、用途別に何冊かそろえたほうがやりやすいように思います。
上記2冊は、その中間、今まで届かなかった痒いところに手が届くおすすめの参考書です。
2000円前後とコストパフォーマンスもよく、初心者でもわかりやすく現場での役立ち度が高い内容です。
特に、「初級日本語文法と教え方のポイント」の方は、学習者からされやすい質問と、その解説が載っています。
かつて私が、「次のときまでにちゃんと説明できるようにしとくから!」と宿題にして持ち帰っていた難題の数々が詳説されているのには、嬉しいやら腹立たしいやら(笑)
私は10代の頃からなぜかボランティアと名がつく活動に関わることが多いのですが、興味のあることがたまたま、無償での労働を中心に成り立っていたというだけで、決してボランティアをすることが好きなわけではありません。
むしろ、「ボランティア」という語が持つ、ある意味プロでないこと・有償でないことに拠る、ナアナアな感じが苦手なのです。
「ボランティアだから」という一言で、自分の努力不足まで免責になる、と思っている人たちの為に、有償無償関係なく高度なサービスを提供しようとしている人たちまでが軽んじられてしまったりします。
本来公的機関が責任を持って行うべき多くのサービスがボランティアによって成されている現在、何らかの策を講じてボランティアの質の底上げを図ることこそが、現在行政が優先すべき課題であるように思われます。
日本語を教えるということをとっても、指導者としてある程度の知識を持って(持とうと努力をして)挑まなければ、学習者の失望を買ってしまいます。
「ワンペア」という学習法があります。
毎週決まった曜日と時間に会場に集まり、日本人と学習者がペアになり会話練習をするというものです。
この活動に参加していた日本人が、「学習者より日本人の方が多い」と愚痴っていましたが、学習者の参加が少ない理由の一つは、学習者がそこにいる日本人の日本語指導力に不満を感じているから、ということは棚に上げているようでした。
「日本語から学ぶ中国語・中国語から学ぶ日本語」を読んで気がついたのですが、日本語は曖昧な表現を好む言語であるために、多言語と比較した場合、文法的にも慣用表現においても説明しにくい点が多くあります。構造的にも曖昧なところが多いというか、法則に対する例外も多いので、「それはそういうもんよ」と言って片付けてしまいたくなることがよくあるのです。
しかしだからといってその台詞を連発していると、学習者は失望してしまいます。
付け加えるなら、日本人の多くがおしゃべりがあまり得意ではないことも、会話ボランティアとしてはマイナスポイントです。「こういうことは聞いてはまずいのかな」という躊躇が、会話を停滞させ、学習者に物足りなさを感じさせるので、学習者との会話にはある種の思い切りが必要になります。
ボランティアの運営であれ、「日本語教室」に来る学習者は、日本人の友達を作るのが最大の目的ではなく、あくまで日本語を勉強するために来ているのだから、指導する側としてそこに参加するならば、ある程度の覚悟と準備をしてきていただきたいなあ、と思うのです。
上述の2冊はその助けになります。

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コメント

  1. Shira より:

    こんにちは。
    暑かったー。でも、夕方になるとヒグラシが鳴いて風が涼しくなりました。まだ地面が熱しきってないようですね。
    外国人向けの日本語教授では「三上文法」の出番が多いと聞いたことがありますが、どうなのでしょうね。機会があればご紹介いただいた本を読んでみたいと思います。
    外国語を学習する私にとって、日本語教授の本はひょっとしたら「姿見」になるかもしれないな、などと以前から考えているのでした...。

  2. Marie より:

    >Shiraさん
    こんにちは。
    子供を海水浴に連れて行ってきました。
    暑いけど、水につかってると暑さを忘れられますね。そのぶん日焼けしてしまいましたが。
    5月19日の記事にも書いていますが、「日本語教育のための誤用分析―中国語話者の母語干渉20例」は、中国語学習者にもとても参考になります。
    Shiraさんに教えていただいた王浩智氏の本の内容とも共通点があります。
    三上文法、私もあまり詳しくないですが、構造説明などではこの考え方が取り入れられていると思います。

  3. たま より:

    こちらにコメント入れますね~。
    私も日本語教師なので。自分の語学の勉強にも役に立つこといっぱいありますよね。
    教えてる子供達の日本語力が自分の韓国語を乗り越えていく・・のはさびしくもたのもしくもあります。

  4. Marie より:

    >たまさん
    こんにちは!コメントありがとうございました!
    日本語を教えていらっしゃるんですね!
    授業よりそのための準備に何倍も時間がかかって、見た目以上に大変な仕事ですよね。
    >教えてる子供達の日本語力が自分の韓国語を乗り越えていく・・
    素敵なことですね。充実した毎日を送っていらっしゃるんですね!
    これからも宜しくお願いします。