余華を勝手にPRする会・会長に就任いたしました

このたび10年ぶりの余華の新作「兄弟」に興奮し、このおもしろさを広く知らしめるべく、余華を勝手にPRする会を設立、勝手に会長に就任いたしました。ただいま会員1名(会長含む)でございます。なにとぞよろしく。(開玩笑です念のため)
92年に発表された「活着(活きる)」は張芸謀により映画化されています。
映画も日本語訳もすばらしいのですが、読める方にはぜひ原書でそのおもしろさを味わっていただきたい。
余華のおもしろさはやはり原文のリズムとか行間にあるように思えます。
中国語が多少できればぜひチャレンジしていただきたい!
活着―ある農夫の一生
東方書店から出ているこの本は、左ページが原文、右ページが日本語注釈、という構成になっているので、文法の基礎知識があれば自力で原書に触れることができます。

張芸謀監督、カンヌ映画祭審査員特別賞作品原作
文化大革命以後の現代中国の中・短編小説を、
原文と詳細な注釈を対照しながら読む好評シリーズ。
張芸謀監督、コン・リー(鞏俐)、葛優主演、中国・香港合作で映画化、
1994年カンヌ映画祭で審査員特別賞に輝いた「活きる」の原作小説。
民国時代から新中国成立、大躍進、文化大革命、
そして現在に至る中国現代史の流れの中で生きたひとりの農夫の物語。
詳細な注を施し、教室用のテキストにも、自習用、速読教材にも使用できる語学テキスト。
一般用・学校用テキスト(中級以上)/講読。
(東方書店作品紹介頁より)

東方書店の中国現代小説系列では、同じような構成で他にもおもしろい作品が出版されているので、興味のある方はぜひどうぞ。
私が面白かったのは
一厘米―1センチ
離婚指南―別れのてびき
などです。
「活きる」は日本語訳も出ています。
活きる
活きる
余華の面白さというのは、たとえばこういうところにあります。
(「兄弟」より)
亡き夫の墓参りに行きたいという母親、墓までの長い道のりを重い病に伏せる母にできるだけ快適にすごさせてやろうと、15歳の息子(女便所覗きで捕まり村中にその名を知られる)はありったけの知恵を絞って準備を整えます。そしていよいよ当日の朝。
(李蘭:母、李光頭:息子)
悪戯息子の親孝行ぶりにほろりとする場面です。
特に「毛主席~」以下の息子の切り返しは、中国語でなくては味わえないリズムとユーモアがあります。
読める方は以下原文をどうぞ。
(簡繁入り混じりです。ご容赦ください。変換はこちらからどうぞ。)
“媽,你怎麼啦?”
“沒怎麼,”李蘭擦擦眼涙,笑着説,
“好兒子,我們走吧。”
這天清晨李蘭坐上了我們劉鎮有史以來最豪華的板車,
由李光頭拉着,在我們劉鎮的大街上招搖過市。
劉鎮的群衆目瞪口呆,
一個個都不相信自己的眼睛,
如此組裝起來的闆車就是在夢裏也沒有見過。
有群衆叫着李光頭的名字,打聽這東西是怎麽弄出來的?
“這東西?”李光頭得意地回答:“這是我媽的專板車。”
群衆聽了一頭霧水,問李光頭:“什麼專板車?”
“專板車都不知道?”
李光頭驕傲地説;,
“毛主席坐的飛機叫專機,
 毛主席坐的列車叫專列,
 毛主席坐的汽車叫專車,
 為什麼?因為別人不能坐。
 我媽坐的板車叫專板車,
 為什麼?也是別人不能坐。”
我們劉鎮的女群衆覺得李蘭的專闆車更像是花轎,
她們咯咯笑個不停,叫着李蘭的名字説:
“你今天是出嫁吧?”
“不是的,”李蘭羞紅了臉,
“我是去郷下給我丈夫掃墓。”
そうそう、余華の過去の作品はこちらなどで閲覧可能です。
2008/05/07 追記:
この記事に検索でたどり着く方がとっても多いようなので、「兄弟」下巻を読み終えた感想を書いた記事へリンクをはっておきます。読み終えた方、感想をコメントで教えていただければとても嬉しいです。
「兄弟」読了
ちなみに、標記のような会は存在しておりません~。念のため。

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