風邪をひいて仕事を一日休んでしまいました。
子供は保育園に送り出して、薬を飲んで布団にもぐりこみ、たまっているDVDを鑑賞。
体調悪いときにはなるべくソフトでハッピーエンディングっぽいものを、と選んだ2本ですが、ことごとく思惑とはかけ離れた内容でした…。
風邪具合悪化…
「看上去很美」は、はるか昔に買ったっきり、ヒゲの落書きつきのすっぽんぽんの男の子、というファニーなジャケットに、勝手に楽しげなイメージを抱いていました。
王朔の自伝的要素もあるという、この幼児が主演の映画、ジャケットと相反して、内容は、重かった…
幼稚園時代から集団生活が苦手だった私には、さらにグサグサささる物語でした。
左利きを無理に矯正されたこと、画用紙を端から端まで真緑に塗りつぶしたら、罰として手をひっぱたかれ、立たされたこと、徐々に内にこもっていく私の変化を敏感に感じ取った周囲の男児たちが、私のスモックにハサミを入れてジャキジャキにしてくれたこと、それが母親を悲しませてしまったことがそれ以上につらかったこと、通園バスに乗るときのそこはかとない絶望感…
あー、これ全部私の記憶です。読んでくださる皆さんのテンション下げちゃってすみません。
子供って、与えられた世界の中から出ることができない。私は外に向かってもがくことを最初から放棄して、内へ内へと向かう子供だったけど、この映画の主人公は、エネルギーはひたすら外へ向かう。そして大人が与えた世界の外への脱出を図る。すごい勇気だ。
そして…以下ややネタバレ・読んでもいい方はドラッグしてください(裸足で抜け出した外の世界で見た、彼より少しお兄ちゃんたちの胸にある少し大きな小紅花。果て無き管理教育の象徴。逃げおおせないことに気づいた彼の絶望。)
でも、王朔そっくりの彼の顔を見ながら、このボウズがやがて王朔になるのね、と思うと、なんだか爽快な気分になってくるのが不思議。
風邪は悪くなってしまったけれど、ものすごく心に残る映画でした。
「両個人的房間」
中年夫婦の愛の危機、のようなことが書かれていたので、勝手にブルース・ウィリス主演の「story of love」のような内容だと思って見始めました。
上記の映画はミシェル・ファイファーとブルース・ウィリスの馴れ合い加減がとてもリアル。基本的には若い頃の情熱的な日々が堅牢な土台になって、すったもんだの上に危機を乗り越えめでたしめでたし、という予定調和が非常に心地いい映画です。
…という変な期待があったので、残念ながら見ごたえはイマイチでした。
主演二人の再共演、というのがこの映画の目玉らしいんだけど、そういう表面的なきれいさ、スタイルだけがあり、夫婦それぞれの心情など、大事なところがリアルに伝わってきませんでした。
エンディングのカメラワークも、カメラワークがまずあって、二人の「途方に暮れ感」があんまりぐっとこなかったなあ…
でも、結婚証明書がないと離婚できないと知らされ、離婚のために結構証明書を必死で探すとか、そういうディテールがすごく心に残りました。映画というのは、あるディテールが強烈に刻まれれば、それでいいんだとも思える、そういう意味では有意思な映画でした。
ああ、めずらしく結構ネタばれ。ごめんなさいまし。
追記:「看上去很美」はこの8月から日本で公開されるようなので、ネタバレは伏字としました。
コメント
お加減はいかがでしょうか?
暑くなったり寒くなったり、変な天気が続いて
体調をくずしやすい時季ですね。
どうぞお大事に。
「看上去很美」たしか八月から「小さな赤い花」の題でロードショー予定でしたね。
恥ずかしながら王朔は「動物凶猛」をちょっと読んで挫折したのですが、
この映画は面白そうなので観に行きたいと思っていたところでした。
>それが母親を悲しませてしまったことがそれ以上につらかったこと
昔の事を思い出してはっとしました。
少し違うかもしれませんが、学校で何があっても家だけは安息の場所であるはずなのに
だんだん隠し切れなくなって学校であったことが
あれこれ知られるようになり、
どこにも居場所が無いように感じた記憶があります。
子どもの世界は家と幼稚園や学校の二ヶ所しかありませんから…。
しかし当時は永遠のように思われた義務教育の期間も
今にしてみれば人生のほんの一時期に過ぎなかったのが
わずかな慰めのような気が致します。
>八妹さん
ありがとうございます。もう復活しましたが、子供が気がつかないうちに中耳炎を発症していたようで…ちょっとブルーな今日この頃です。
おー、ちょうど8月からロードショーだったんですね。
ネタバレしてしまってごめんなさい。
やっぱり記事の一部を伏字にしておきます。
映画はおもしろいです。不思議と飽きさせません。みんな多かれ少なかれ、自分の幼少時代とダブらせるんじゃないでしょうか。
そうそう、あれだけきつかった学生時代も、過ぎ去ってしまえばどうにかこうにか笑い話にもできるのです。当時自分を傷つけようと思ったことはありませんでしたが、今しんどい思いをしている子供たちに、できることなら、「大人になったら逃げ道がたくさん!それまでなんとかもちこたえて」と伝えたいですね。