大昔にVHSで所有して、何度も見たはずの、リバー・フェニックスの(完成版としては)最後の作品『愛と呼ばれるもの』。
何年も前に、DVDが出ていることを知って買っていたものの、そのままにしておいたのですが、ふと思い出してパッケージを破り、鑑賞しました。(Amazonプライムにあったけど、吹替版だけだったのでがっかりしていたところ、家にDVDがあることを思い出したという流れ)
愛と呼ばれるもの
なんでだか、20年以上前の記憶は改竄されていて、悲しいエンディングの気がしていたんですが、ほほえましいハッピーエンドでした。歌うことを心ゆくまで楽しんで、実際の恋人でもあったサマンサ・マシスにひざまずいてプロポーズして、どうして死んでしまったんだろう、と、楽しく美しい場面で何度も泣いてしまいました。
ふた昔前もきっとこうやって泣いていて、だから哀しい映画として記憶されてしまったのでしょう。
サウンドトラックの輸入盤を買って、ずっと聞いていたのを覚えてます。
カントリー、特に、サントラにも収録されているデボラ・アレンの歌声が好きになって、ナッシュビルの住所宛にファンレターを書いたら、私が引っ越すまでずっと定期的にファンクラブ通信をエアメールで送ってくれていたのでした。
ずっと忘れていたけど映画を観て思い出した。
なんとなくリバー本人が好まない種類の取り上げられかたであるような勝手な思いで、追悼特集のムックや書籍は買わずに来ました。今年は生誕50年といってまたスクリーンから出るようですが、死んだ人の歳は数えてはいけないと個人的には思うし、買わない方向。
未完の遺作、しかし監督が自らの死を前に、未撮影の部分をナレーションで補う形で世に出した『ダーク・ブラッド』。
これは、話の筋的に、見れそうにありません。と思いながらアマプラ見てたら、プライム見放題に入っている…
きのうの夜、Viper Roomで
そんな感じでAmazon店内を徘徊していたら、こんな伝記を見つけました。
2013年に出ているということは、没後20年を記念して出版されたのか。
レビューにはあまり悪いことは書かれていなかったので、見てみようという気になりました。
ファンにとってはよく知られているエピソードも多かったのですが、同世代の俳優たちが当時どのようだったか、についてもページを割かれているのが興味深いです。
『エクスプローラー』で共演し、仲良くなったイーサン・ホークが、『スタンド・バイ・ミー』のオーディションを受けたものの役を得られず、普通の高校生活を送ることになったとか。
『旅立ちの時』の脚本家ナオミ・フォナーがマギー&ジェイク・ジレンホールの母であるとか。
ブラピ、それからディカプリオへの言及、コリー・フェルドマンとコリー・ハイムのコンビのエピソードとか。
レッチリのメンバーもちらちら出てくる。
ジョニー・デップを引き合いに出しながら、十代でアイドル的存在になった俳優が人生の中で危うい道を通りがちなこと、そして道を踏み外すことなく歳を重ねていく者だけが残っていくことにも言及されています。
周辺にいた人物の、リバーに対する率直なコメントも多くあり、ただただ彼の俳優としての業績を持ち上げるだけの文章でないところもよいと感じながら読んでいます。
『スタンド・バイ・ミー』のあの有名な夜のシーン、クリスとゴーリーのふたりきりの場面のエピソードについても書かれていました。
リバーの演技に満足いかなかった監督が、「過去に自分が大人から裏切られたりした経験を思い出してごらん」と言い、そのことによりあの名場面が生まれました。カットの声がかかっても、リバーは泣き止むことができなかった。
うちにある『スタンド・バイ・ミー』のDVDには、監督による解説が入っていて、監督自身が語っていたのでこの話は知っていたのですが、このことを知ってしまってから、『スタンド・バイ・ミー』を見るたびにつらくかなしくなるようになりました。
血を流す場面を演じるならば、普通は血のりを使うところを、彼はまだ癒えない傷口をこじ開けて毎回血を流す姿をカメラに晒していたのではないかと。
ホアキン・フェニックスが『ジョーカー』でオスカー受賞したときの、最後にリバーの詞を引用したスピーチは見るたびに涙が出ます。
stand.fmでもお話しています。
#11 映画の話 リバー・フェニックスという俳優 – ひねもすラフスケッチ | stand.fm
1993年、23歳で夭逝したリバー・フェニックスという俳優について。 『スタンド・バイ・ミー』の名場面の知られざる逸話についてなど、当時のハリウッドのエピソードもりだくさんの伝記を読みつつお話します。 『ジョーカー』主演のホアキン・フェニックスの兄でもあります。ホアキンのオスカー受賞の際のスピーチについても触れようと思っていたけど忘れてた。