予約していた日本語版、届きました。もったいないのでちびちび読んでいます。
NHKBSの週刊ブックレビュー、7月19日に余華さんがスタジオゲストとして登場するようです。
それから、文藝春秋のサイト内に、訳者の泉京鹿さんの文章が掲載されています。
『世界的作家・余華の問題作–「兄弟」を読み解くために–』
泉京鹿さんはすごい。
私が漠然と考えていたことを着々と行動に移し、周囲を巻き込んでムーブメントを起こそうとしている。勝手にかなり年上だと思っていたら、なんだ、ほとんど違わないではないですか。
中国の小説は、現実にはまだまだ「文学をする」人たちのもの。中国の小説の翻訳といえば、「文学です!」とつんとすました印象の本か、武侠のちょっとマニアな香りのするシリーズもののどちらかくらい。大きくもなく小さくもない、街の普通の書店の棚では、あまり見かけないし、あっても隅っこに追いやられていたり。
そんなところに、泉京鹿さんは、10tハンマー振りかざして風穴を開けようとしています。衛慧やアニーベイビーという、「それそれ!」と膝を打ちたくなる作家の作品をひっさげて。
アメリカ文学が、日本のふつうの「本を楽しむ、物語を楽しむ」人たちのものになったように、中国文学もそんなふうにシフトしていってほしい。文化の違いと、その違いを超えた人間の普遍性を、もっと楽しめるようになればいい。
私もこのブログを通じて、彼女の後ろにこっそりついていって、小さなトンカチ程度ではありますが、加勢できればいいな、などと考えているところです。
コメント
「兄弟」ついに出たのですね。
私はやっぱり文革時の迫害の場面がちゃんと読めるかどうか
分からないので迷っています。
高校生のころは遠藤周作の「沈黙」等、普通に読んでいた
のですが、今はキリスト教迫害の場面が辛くてとても
読み返せそうにありません。
大人になって精神的に弱くなっちゃったんでしょうかね。
不思議です。
>はるさめ3428さん
ついに出ましたね。
私も正直なところ、読むのが辛くて、ささーっと進みました。日本語だと同じ「ささー」でも、心の中に言葉がぐんぐん入ってくるだろうから、余計つらいかもしれませんね…
若い頃大丈夫だったのに、今辛くて読めないっていうの、よくわかります。映画とかは視覚でさらに強く訴えてくるので、他の人にはたいしたことがないようなエピソードでも、夜眠れなくなってしまうこともあります。
お陰様でやっとこのページにたどり着けました。 愚妻は、ブツブツ言いながらも、昨日の内に「兄弟」2冊を読み終えたようです。 私に早く読め、読め!!とうるさくてかないません。
私は今、E.ルナンのイエスにまつわる浩瀚な彼の著作を読んでいて、それが終わってから余さんの新作を読みます。
ですから、「雨の中の叫び」も、まだ途中!
ご無沙汰しております。
余華さんの「兄弟」翻訳出版されたんですね!装丁の迫力に、本屋さんで目が釘付けになりました!内容が過激なとこもあったんで、どんな風に訳されてるのか、知りたいけどなんだか怖くて手にとることが出来ませんでした(笑)
読み終わってから長いので、細かい内容は結構忘れてるんですけど、シーンとして色々頭の中に残っています。
それも余華さんの文章の魅力のひとつですよね。
でも、ホント日本人が中国の小説を、気軽に、普通に読めるようになるといいな~と思います。
今は往々にして、中国に興味ある人しか手に取らない気がします。文芸作品が多いというイメージも強いのかな?
Marieさんのブログは、余華の「兄弟」が発端でたどり着いたのですが、本当によく拝見させてもらってます。
小説やドラマ見る参考にもさせていただいてて(笑)
ありがとうございます!
ちなみに今は「五星飯店」を読んでいます。
これからも、色々情報よろしくお願いします(笑)
>大阪kkさん
奥様、「兄弟」を堪能されたのですね!余華さんはもちろん、泉京鹿さんも喜ばれると思います。私は近日「許三観売血記」を読み返す予定です。
>リンリンさん
お久しぶりです!
私も翻訳はちびちび少しずつ読んでいます。先に進むのが怖いようなもったいないような気持ちです。特に下巻!ばかばかしいし笑ってしまうし、なんなんだこれはと思いながら読んでいるんだけど、ふと立ち止まってじっくり考えてみると、その足元の穴の深さに震えてしまうような、物語だと思います。
そうそう、そうなんです。中国の歴史にも文化にもあんまり興味はないけど、でも小説としておもしろいから!というような受け入れられ方になれば、今とは全然違ってくるでしょうね!
よくいらしてくださってるんですね!ありがとうございます。
昨日ちょうど当当から荷物が届いたので、またいろいろご紹介できると思いますのでお楽しみに!
「五星飯店」、ドラマ日本放映の話が出てましたが、どうなったんでしょうね。「新上海灘」に先を越されちゃいましたね。
こちらこそ、よろしくお願いします!またお気軽にコメントくださいね♪
翻訳の方、もう手にされてるのですね。
さすがです!
下巻。読んでいる間は、次々起こる事(ネタばれになるといけないんですが、宋鋼が物を売るのに行った事は、かなり引きました)に惑わされて、気づかなかったんですが、読み終わった当時、しみじみと中国の現在とあわせ見て、絶望的な気持ちになった事を思い出します。深いです。
でも、中国の現在を知らない人でも、娯楽性(?)があるので、読めばはまると思うんですが。
いや、エグイかな~?
「五星飯店」ラストの撮りなおしで遅れてるみたいですね。
私はまだ最後まで読めてないんで(ドラマも見てない)、ラストの是非は分かりませんが。
この放映で、中国版キムタクが話題になれば、海岩さんの原作も翻訳されないかな?
「拿什麼~」「玉観音」なんか、面白いし良いと思うんですけどね~。
では、またお邪魔させていただきます。
>リンリンさん
>宋鋼が物を売るのに
あーひきましたひきました!男前っていう設定だけに余計に…
物語の中に中国らしさは満載ですけど、でもどの国にもどの人にも、普遍的にあるテーマですよね。笑いの方はともかく、泣き所は日本人のツボにうまくはまる気がします。
余華氏が前書きだかあとがきだかに書いていたように、他の国が400年かけて変わってきたプロセスを、10倍速で駆け抜けてしまったわけだから、そりゃもうすごいエネルギーですよ。
中国を知らないでこれを読んでどう思うのか…これはもう私には全く見当がつきません。
海岩の「玉観音」はちょっと前に衛星でやってたみたいなので、DVD化とかしないかしら?「新・上海グランド」のスン・リーだし、可能性はあるかも、ですね。
またきてくださいね!楽しみにしています。
Marieさん
「兄弟」を読了してからご報告しようと思っていたのですが、中間報告。 家内が、しつこく「先に読め!」と脅迫するものですから、昨日、「上」を読み上げました。 家内は「上下」を一日で読み上げたようなので、私は「信じられない!」と言ったところ、どうやら、主婦業を放棄して読み耽った様です。
その為に、私は家内の背中に膏薬を4枚も貼るはめになりました。 Marieさんが「下ねた」を心配しておられたので、それに対し、私はこれは(pathos)ではないか!‥「電信柱でシコシコ」は最高だよ!‥と家内に伝えたところ、「下」を読んでからもう一度感想を述べて!と家内に言われました。
いずれにせよ、トルストイやドストエフスキーのように大上段に構える事無く‥‥芸術ですね。
日本の人気のある作家とは格違いです。
「下」を読み終えたら、意見が変わるかしら?
>大阪kkさん
うふふ、奥様とのやりとり、想像できます。私も夫婦で気に入った本をお互いに「読め読め」とやってますから♪しかも、実は私も「兄弟」の下巻、後半は子供も家事もほったらかして読み終えてしまいました。
下巻、中国でも一時期「『兄弟』は駄作?」というような論争が起こっていました。私も実は、長々と続くあほらしいエピソードの数々に飽きてしまい、読むのを中断していたのですが、後半からどんどん「あほらしさ」の背後にあるものの輪郭が見えてきて、ぐんぐんのめりこんでいってしまいました。
日本語版はまだ最後まで読んでないのですが、きっと訳もいいのでしょうね。
楽しみです。
Marieさん
後半からどんどん「あほらしさ」の背後にあるものの輪郭が見えてきて、ぐんぐんのめりこんでいってしまいました。
‥‥
あなたは、恐らく‥ではなく、間違いなく賢い人なのでしょうね!
実は、つぎの土曜日チェーホフの「三人姉妹」を家内と観劇するのですが、そのためチェーホフの原作を急いで再再読、すると家内は「そんなのやめて、早く下を読みなさいよ!」だって。 チェーホフの戯曲も「あほらしさの背後」が問題ですからね! ついでに、ベッケットもね。
>大阪kkさん
いえいえ、褒めすぎです…輪郭は見えてきたものの、はっきりつかめないままなんですから。
「三人姉妹」を観に行かれるんですね!私の街にも「かもめ」が来る予定で、行ってみたいのですが、子供がいるので難しいだろうな…
チェーホフよりは、よく比較されるモーパッサンの方を一時期よく読みました。10代の頃に読んだ「脂肪の塊」「首飾り」は強烈に胸に刻まれました…。こちらは、深刻な事情の背後にあるおかしみ、とでもいいますか。
「ゴドーを待ちながら」のベケットでしょうか。いろんな表記法があるんですね。私はベケットで記憶していました。
大阪kkさんの「兄弟」の感想を伺うのが楽しみです。私も奥様のようにせっつきたい気分です(笑)
Marieさん
あなたに「兄弟」の読後感想文を送ること、緊張します。
一昨日のうちに読了しました。 結論は「良いですね!」と先に言っておきます。 とにもかくにも、私に一気に読ませたのですから。 余華(敬称略)はいはゆる「ストーリ・テラー」(昔々、サマーセット・モームもそう言われた?それとも私の記憶違い?)、物語を物語る能力が優れているので、その技量におぼれる事無く、新しい文学に挑戦して欲しいと感じながら今後の余華の著作を注目して待っています。
余華が「カフカ」に影響を受けたと言っていますが、「兄弟」はその影響(カフカの城)のある部分を表出していて、何度も言いますが、物語る彼の能力がじゃまをしているところも少し有るかな‥
エピローグは完全に余計なものでした。(ストーリ・テラーとしての彼の腕がむずむずしたのでしょう)
下ネタはこの作品では許容できました。 宋鋼の自殺に中国ではクレームが有ったとのこと、かの国の文壇の歴史的時間が少しずれているかも知れません。 少しづつ、かの国も変わらざるを得ないと信じています。 訳者の泉京鹿はフェリスのエリートですから、翻訳は安心して読めました。
最後に、Beckettのことですが、私のような耳順をとっくに過ぎた人間はBeの後にckがくるとベッと勝手にしてしまった、単なるミスプリです。 ごめんなさい。
余り長くなるといけませんので、今回はこのへんで‥
>大阪kkさん
いえいえ、私になぞ緊張なさらないで下さい。
ただ、このブログは以前から余華氏に関する話題を多く書いてきているので、関係者の方もよくご覧になっているようです。大阪kkさんの感想もしっかり届くと思います。
「物語を物語る能力に優れている」、本当にその通りだと思います。簡潔な文章で、ぐいぐい読者をひきつけ、ページを繰らせる手腕には感服するほかありません。
エピローグは蛇足だったでしょうか。中国の映画にしろ小説にしろ、そういう意見を日本でよく聞きます。もしかしたら両国の人々の嗜好の違いもあるのかもしれませんね。
Beckett、あとから調べてみたら、両方の記載方法があるようです。こちらこそ失礼しました。
余華の作品に限らず、また感想、聞かせてくださいね。楽しみにしています。
Marieさん
コメント、有難う御座います。しばらく時間があったので、あなたに何かあったのかと心配でした。
さて、これもあなたのお陰なのですが、19日のNHK/BSで余さんのインタビューをみました。(あらかじめ知らなかったら見過ごしていたでしょう)
質問に対する彼の回答の全てが素晴らしく、彼の能力をあらためて認識しなおした‥と言う感じです。必ず、彼はノーベル文学賞を受けるでしょう。 純文学の意味も分っているようで、次の作品がどうなるのか本当に楽しみです。
一言だけ彼は冗談を言いましたね。余さんが知らないのはあたりまえ‥川端が言わなくても「日本の女性の肌」は特別綺麗ですから。ところで、インタビュアーのの2人の日本女性は、筋書きばかりを質問していましたが、彼女たち「文学」を分っているのかしら?
>大阪kkさん
ご心配をおかけしてしまいました。元気にやっております。
週間ブックレビュー、ご覧になったんですね。私はBS写らないんです。いつもは必要ないんですが、こういうときは本当に残念。
私は一昨年余華さんにお会いした時にいくつか質問をして、そのとき中国語の単語を誤用してしまい、とても恥ずかしい思いをしましたが、余華さんは丁寧に答えてくださいました。
大阪kkさんのコメントを拝見して、その時のことを思い出してしまいました。