「風声」読了

人気ドラマ「暗算(邦題:プロット・アゲインスト)」の原作者、麦家の新作「風声」を読み終わりました。

いや、おもしろかった!一気に読み終わりました。
なんというか、映画というより演劇を見ているような臨場感のある小説でした。

第一部の「東風」は、最初から最後まで、陰鬱な気配漂う洋館の中が舞台となります。
日偽軍は、「老鬼」というコードネームの共産党側のスパイが紛れ込んでいるという情報を傍受する。打ち捨てられた洋館に容疑者らが集められ、日本人である龍川肥原を中心とするメンバーが、その中にいるはずの「老鬼」をじわじわと追い詰めていく…というストーリー。

場面が動かないだけに、登場人物の会話や心の声が中心となります。音響設備のいい舞台のように、一人一人の声が圧倒的な存在感を持ってひびきわたります。
初めの頃は、容疑をかけられている男2人、女2人の動向に重心が置かれているのですが、スポットライトは徐々に追い詰める側の肥原に当たっていきます。

女性のような端正な風貌に設定されている肥原ですが、実は冷静沈着、外見に反して腕力もあり、残酷な拷問も厭わない切れ者です。彼がどう考え、どう策を講じ、どのように「老鬼」を炙り出していくのか、文字通り手に汗を握りながら、活字を追いかけていくことになります。

第1部の「東風」の前半と後半に出てくる「我」は、著者自身です。(最初は意味がよくわからず、洋館の詳しい説明も含めて読み飛ばしました。)この物語を著すことになった経緯、及び、きっかけとなった藩という老人が冒頭で語られ、後半で藩老が種明かしをはじめます。

そしてさらに、「西風」「静風」でのどんでん返し。

この小説に「続・暗算」とキャッチコピーのついている理由がこの2部以降で納得できます。701部隊の存在、あの独特な雰囲気がぐぐっと前面に押し出されてきます。
そして衝撃的なセリフの直後の暗転、閉幕。
思わず立ち上がって喝采を送りたくなるようなエピローグでした。
映画は豪華キャストで、既にクランクインされているようですね。原作とは違うエンディングだそうで、今から楽しみです。

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