ムズムズする英会話テキスト



音声CDがラジオ講座っぽい進行なので、主に聞いてばっかりなんですが、このテキスト、おもしろいです。
何が面白いかというと、聞いててすっごいムズムズするんです。ポイントはいろいろありますが、わるくちじゃないことをあらかじめおことわりしておきます。ほめてます。

mp3 CD付 つながる英会話 --ネイティブとの会話が楽しく続くテクニック50--
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「つながる英会話」というタイトルの通り、実際の会話に役立つちょっとしたつなぎ言葉とか、言い回しとかをマスターするための内容になっています。
とにかく、スキットが全然テキストっぽくない。ぶっつけ本番・もしかしたらきっちり決まった台本なしに録ったのでは?と思えるようなふつうっぽい会話音声です。しかも、雑音が入ってて聞きづらい。聞きづらいというのは大事です。普段の生活は録音スタジオの中みたいにシーンとしてませんから。

そんなに英語ができるわけではないという設定の日本人とネイティブのふつうっぽいやりとりで、合間に「あー」とか「うmー」とか「ゆのう」とかがじゃんじゃんはさみこまれます。それを聞いてると、オンラインレッスンを受けるときなど、実際に英語を話すときの自分を思い出して、すっごくすっごくムズムズします。

ムズムズするっていうのは、スキットの状況を自分自身にぐっと引き寄せて聞いている証拠だと思うのです。「自分もこんなシチュエーションに置かれたことある、そしてうまく喋れなかった」という記憶が、なぜだか意味なく肩を回してストレッチしたくなるような、この居心地の悪さを感じさせてるに違いない、と私は推測しています。自分に引き寄せつつ学習するというのは、語学ではすごく大切なことです。

また、流暢に会話をつないでいるのに、なぜかものすごく簡単な単語がわからなくて「○○ってどういう意味?」と無邪気に聞き返してしまう登場人物にまたムズムズします。残念ながら本人は目の前にいないので、iPodに向かって「それくらい知ってるだろ!察しもつくだろ!」とツッコミを入れてしまいます。

そして著者の語り。
「リアルな会話」の前に「リアルな会話で~使い方をCheck!!」というフレーズが毎度はさまれるのですが、それがすごくムズムズします。それは多分著者のせいではなくて、先日行った洋服屋さんのお兄さんの「それ~いいっすよね~!秋物すけど、リアルに今から着れるっすよ~」というコメントが頭に残っているからでもあります。店の中でお兄さんの尾行をまきながら「リアルに今から…リアルに今から…」とずっとつぶやいていた私です。そのお兄さんを思い出してしまうのは、けっして著者のせいではありません。

さらに、たまに気分が乗ってくると著者の語りは思い切り関西弁になります。長く聞いているうちに勘が働き、「そろそろ気分が乗ってきて次の部分は関西弁だな」とかこちらが推測しているのに、まんまと予想を裏切り標準語だったりして非常にムズムズします。こんなふうにご自身の都合で標準語と切り替えるのはほとんどの場合関西弁話者なのはどうしてでしょうね。ラジオ講座でも関西弁を聞いたことがありますが、東北弁や博多弁にスイッチするのは聞いたことがない気がします。ムズムズムズムズします。

このようにこのテキストは、いろいろな意味で、これまで私が見たこと聞いたことのある英会話テキストとは一線を画しています。
正直、ラジオ韓国語講座ではじめて兼若せんせいの歌を聴いたときと同じくらいの衝撃を受けました。

語彙を記憶するには、何度も繰り返し出会うことも大事ですが、出会ったときのインパクトが大きければ、一度でがつんと覚えてしまうものです。このインパクトに乗じて、テキストに載ってる会話くらいはスムーズにつなげられるように精進したいと思います。

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