思い出話。



留学後、中国語を使う仕事をするようになり、通訳もときどきしなければならなくなりました。
翻訳ならまだしも、通訳という仕事は、ちょっと喋れるくらいのレベルでは全く身の丈に合わないものなのですが、知らない人から見ると、「喋れる=通訳できる」と思ってしまうようですね…。
しかもどちらかというと内向的な私にとって、大勢の視線を一身に浴びて話さなければいけないというシチュエーションは、日本語ですら針のむしろなのに、中国語で機転を利かせつつ話さなければならないのは相当の試練でした。
専門的な勉強をしたわけではないので、ものすごく苦労したし、迷惑もかけてしまったし、恥もたくさんかきました。今思い出しても変な汗が出ます…。
それでも求められればやらざるを得ないので、自分なりに対策を練りました。
近くに通訳の専門学校などはなかったので、この本を購入して書かれている方法どおりにトレーニングを進めていきました。この本は留学にも持っていっていたのですが、ほとんど使わないまま持ち帰り、帰国後に大活躍することとなりました。
中国語通訳トレーニング講座
中国語通訳トレーニング講座
ホテルなどの会場で開かれるレセプションや食事会の通訳は、代表者の挨拶がほとんどで、事前に原稿もいただくためにそれほど苦痛ではなかったのですが、たまに原稿なしで滔々と話し始める方もいらっしゃり、焦りました。ただ、式辞挨拶は決まり文句が多いので、ある程度言い回しのパターンを覚えてしまえば、なんとかなることがわかりました。
「式辞あいさつ篇」(新編・東方中国語講座) から使えそうな搭配をピックアップして、思い浮かぶ限りの言い回しを作ってストックしていました。
工場視察などでは、専門用語が急に飛び出してくることと、訛りがきつくて聞き取りが難しいのが大変でした。ただ、若くていかにもひよっこな様子だったのと、積極的に相手との距離を縮めようとする姿勢がよかったのか(田舎のおじちゃん相手が多かったので…^^;)相手もわかりやすく話そうと努力してくれたり、聞きなおしても快く繰り返してくれたり、助けてもらうことが多かったです。クレームなど言いづらいこともびしっと言わないといけないことも多かったのですが、仕事相手と馴れ合いにならずに友好的な関係を築けたのは、ビジネスをうまくすすめる上で役に立ったと思います。
今思えば、この頃が、私のこれまでの人生最大のアウトプット時期でした。
留学中も勉強でも人間関係でも中国語どっぷりな生活を送っていましたが、日常生活と仕事ではかかってくる負荷が全然違うので、すごく必死でした。
結婚・出産後は今度は目下一番のインプット期に入り、それは今も継続中です。もう少し勉強にアウトプットの要素を取り入れねば…と思いつつ、地味~に本ばかり読んでいます。
夏休みの宿題終了以降、勉強の重心がかなり韓国語に傾いています。
これまでの学習から得たことをうまくこれからの中国語・韓国語学習(あ、英語も)に生かしていきたいので、これまでの自分の学習法を検証してみたいと思っています。

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コメント

  1. yue より:

    こんにちは。
    Marieさんの中国語レベルには遠く及ばない私ですが、いろいろと同感です!
    外国語が少し話せるなら、通訳・翻訳も当然できるんだろうと、世間では思われがちですよねぇ。
    自分自身、仕事で携わってみるまではそう言った甘い考えがあったので、いろいろと苦労しました。
    でも、関係者に迷惑かけてはいけない、恥を掻きたくない(掻いたけど)という思いから、自分なりに勉強もしたし、とてもいい経験になりました。
    私が通訳の仕事を始めたときは、もうそんなに若くはなかったんですが、外見が子供っぽい上に、頼りないけど一生懸命なオーラが出ていたんだと思います。
    「こんなお嬢ちゃんが通訳?」という感じで、相手が結構好意的&協力的に接してくれることが多かったし、多少はチヤホヤもしてえたので、その点ではやり易かったし楽しかったです。
    でも年齢も学習年数も重ねた今、当時のように周りの好意に甘えたり、熱意だけで場を乗り切る訳には行かないことを実感しています。
    いずれまた、前のような仕事をしたいと思っているので、コツコツと勉強を続けなければ!と、Marieさんの記事を読んで思いました。
    ちなみに私は食事会でのテーブル通訳が一番好きでした。
    食べられないのは苦痛だけど、気楽なので…。
    レセプションの挨拶とか表敬訪問とかの通訳は実はほとんどやったことがありません。
    今思えばパターンが決まっているんですが、当時はあの言い回し自体に慣れなくて、原稿があっても緊張でガチガチでした。
    長文コメント失礼しました~。

  2. Marie より:

    >yueさん
    ほんとに、そっくりそのままですねえ!!
    私もテーブル通訳大好きでした。食べれないけど、皆さんが「あなた食べてないじゃない、ほら食べて食べて」とか親切な言葉をかけてくださると、それだけで十分だったり。受けを狙った言葉をうまく訳せて場が盛り上がったりする瞬間がとても好きだったなあ。
    あの頃は勢いだけで乗り切ってた気もしますが、あの経験が今後再び新しい一歩を踏み出すときの力になるのかなと思います。気合だけでなくて、実力も備えなければいけないんですが、なかなか…

  3. hachi より:

    私は仕事として中国語を使ったことはないのですが、少し中国語がわかるということで、中国や台湾からお客さんがきたときに、突然みなさんの自己紹介の場での通訳に駆り出されたり、観光のアテンドをすることがありました。いうなればほんと仕事には関連しているとはいえ、ボランティアでしたが、それでも自己紹介や挨拶の場での臨時通訳はとってもつらかったです~。
    訓練も受けていない状態だからなおさらですけど、いくらボランティアとはいえ、適当にするわけにもいかず・・・
    観光アテンドや食事のときは楽しかったのは同じですね^^

  4. Marie より:

    >hachiさん
    仕事で語学が使えるって嬉しい反面、仕事だけに適当では済まされないから、すごいプレッシャーですよね。急な自己紹介だと、名前の読みがわからなくて焦ったりしました。
    観光アテンドや食事会の通訳は今でもたまーにやるのですが、相手の満足そうな顔を見るとすごく嬉しいですよねえ。

  5. akira より:

    通訳は本当に充実感がありますよね。私は子ども相手の通訳だけですが、日本語⇒中国語の通訳だけでなく、中国語⇒韓国語の通訳したときの、韓国の子どもの喜びようは忘れられません。
    逆に近くに同じ言語の通訳者がいるときの緊張感は強烈です。(笑)
    中国語を通訳したとき嫌なのは、当然、英語もできると思われることですね。で、しかも他の中国語の通訳者は、みんな実際に英語も通訳出来るからまたこれが……

  6. Marie より:

    >akiraさん
    子供相手の通訳っていいですよね。私も、以前仕事で出会った子供たちとその後も交流したりして、いい刺激をもらったりしました。
    他の方、英語の通訳、できますか?私の周囲は結構「英語苦手…」っていう人も多いです。