A Concise Chinese-English Dictionary for Lovers




kindle版

A Concise Chinese-English Dictionary for Lovers
ペーパーバック
だいぶ前に買ったまま放置してあったのを読み終えました。
前に挫折したのは、日本アマゾンのレビューにあるように、はちゃめちゃな主人公の英語に自分が悪影響を受けそうで嫌になったことと、23歳の主人公があまりにも簡単に現地の父親ほどの男性との同棲を始めたり体を許したりするのがちょっと許しがたかったからです。
主人公の彼女に感情移入するのは難しそうだったので、今回は主人公の恋人の気持ちに沿いながら読み、するとこれはこれでおもしろく読めました。
彼が単に若いアジア人女性との肉体関係のために彼女を家に迎え入れたのではなく、むしろ彼女の存在を邪魔に思いながら、追い出すこともできないというシチュエーションが可笑しく、そんなにイヤなら追い出しちゃえばいいのに、とじりじりします。恋人がそんな状態なのに、彼女の方が「二人の愛の将来は」とか言い続けているのもなんだかおかしい。
物語は英国に留学に来たばかりの彼女の日記という体裁なのですが、最初の英語はほんとにひどい。(著者自身が渡英した直後の英語はこれよりまだひどかったんだとか。)ある程度英語を読みなれ、速いスピードで読めるようになっていたので、意味を取りながらも読み飛ばすことができたのかもしれません。この英語を返り読みしながら読んでいては却って混乱してしまいそうです。
物語の半分を超えると、うらやましいくらい流暢な英語に変わってきます。
これは単に英語を母語とする恋人と暮らしているからというだけでなく、anarchyなどという抽象的な単語への理解にも果敢に挑戦し、恋人に「君といると質問攻めで疲れる」と言わしめるくらい積極的に問い続ける彼女の姿勢による進歩なのだろうなと思いました。(まあフィクションなんですけど)
(かなり自在に英語を操るようになっても、mansとかwomensとか主人公が間違って言ってるのはわざとらしいとレビューにありましたが、いやいや中国人ならありえる、とか思ってしまう私です。)
思えば異国の中国人や韓国人は、ものすごく少ない語彙とシンプルな文法で、ありとあらゆることを喋ろうとします。(もちろん例外的なシャイな人もいるでしょうが)
他にも、旅先で出会ったたくさんの人々と私は、この物語の主人公の喋るのと五十歩百歩の英語で、一生懸命意思の疎通を図ろうとしたのでした。
伝えたいことがあれば、つたない言葉でもなんとか伝わる、ということを実際に経験すると同時に、伝えるための情熱・その前のめりな姿勢から多くを学びました。
他にも、徐々に英語を操れるようになった彼女が、中国の文化について英国の恋人に一生懸命説明しようとするところに胸を打たれました。
私は彼女と同じ立場に立ったとき、果たしてそこまでして日本のことを語る知識と情熱があるだろうか、と考えたり…。
まあ彼女の行動は、眉をひそめてしまうようなことが多いのですが、そこに目をつぶれば、難しい単語も全然出てこず非常に読みやすいですし、彼女と恋人とのやり取りをおもしろく読むことができました。
愛のようなものに熱を上げてしまうことは若いときには大なり小なり誰でもあることだろうし、それが愛じゃないとは誰にも断言できないしな…となんだかお正月からしみじみしたのでした。

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コメント

  1. Laurier より:

    こんにちは^^
    「愛のようなものに熱を上げてしまうことは若いときには大なり小なり誰でもあること」に頷いてしまいました。
    折しも「困った中学生カップル」話題がツイッターで流行っている(?)今日この頃。大人が目をひそめるような行為だって、彼らにしたら真剣かもしれません(それでも笑)。
    英語の本も、自らの中国語や異文化体験と重ねながら読むと興味が増しますよね。見習いたいです。またレビュー楽しみにしてます♪