「もしかして聖人」アン・タイラーを読みました。



もしかして聖人

日本語版はもう絶版のようなので、ペーパーバック版のリンクもはっておきます。


Saint Maybe

再読です。はじめて読んだのは前世紀。
当時、著者の作品にどっぷりはまり、既刊本を読み漁りました。
その頃一番好きだったのは、ふつうの主婦が突然着の身着のままで家出をしてしまう「歳月のはしご」や、「モーガンさんの街角」あたりでした。

主人公がアクティブで、みんなが巻き込まれてしまう感じのストーリーの方が好みだったようです。
この「もしかして聖人」は、そういうタイプではないからか、あまり印象に残っていませんでした。訳者あとがきに「著者作品の中では重いテーマ」とあるのを読んでも、そうだったっけなー、思い出せないなー、と。
どんな話だったか確認するつもりで、なんの気なしに読み返したのですが、読んだ後周りの風景の色あいがちょっと違ってしまうほどの衝撃を受けました。
自分の余計なひと言が原因で、兄夫婦を死に追いやったのではないかと悩み、神からの許しのしるしを探しながら生きる青年イアンの物語。
映画のように、いくつかのシーンが鮮やかに記憶に残るのは、アン・タイラー作品ならではなのですが、今回は映像ばかりでなく、文章が頭の中に刻みつけられてしまうほどのインパクトでした。
家事や仕事をしながらふいに思い出しては涙ぐんでしまいます。
前回と今回の読後感の差は、歳をとって、ひとつの物語を読むにもいろんな視点で見るようになったせいでしょうか。
1年くらい前に見たときは確かもう少し少なかったような気がするのですが、Anne Tyler作品のkindleバージョン、揃ってますね。
原書で読もうとして何度挫折したことか…

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